<宮里藍 サントリーレディスオープン 3日目◇12日◇六甲国際ゴルフ倶楽部(兵庫県)◇6517ヤード・パー72>
「将来に対する不安があって、28歳になって引退の年を考えたり。コロナでいろいろ考える方も多かったと思うけど、私も潮時を考え始めてしまっていた」
3日目に「66」をマークし、トータル12アンダーの2位タイまで浮上した青木瀬令奈は、ラウンド後の会見で最近まで頭に浮かんでいた考えを明かした。今季はなかなか調子が上がらず、賞金ランキングは1436万8975円で63位。特に今年に入ってからは13試合で5度の予選落ち(棄権が1回)と苦しい時間が続いていた。そのなかで「ネガティブ」な感情も湧いていたが、その瀬戸際を“ファミリー”が救った。
「ほけんの窓口レディース」の週に、青木と同じ高級腕時計メーカーのリシャールミルと契約を結ぶレーシングドライバーの松下信治(のぶはる)さんの言葉で、心のモヤモヤが晴れたという。「自分が今いる位置が自分が行きたかったところ。そこから自分で降りることはないんだよって言われて、確かになと思いました。今の位置にいるあいだはしっかりと目の前のことだけやっていったら?って言ってくれて」。1学年下ながら、“0コンマ何秒”の世界に生きる同じアスリートからの言葉にハッとさせられた。
そこから気持ちも晴れた。さらにメンタル面だけでなく、カーレーサーが行う心拍数を抑えるための練習法なども教えてもらい、それを取り入れプレーに生かしている。すると翌週の「中京テレビ・ブリヂストンレディスオープン」で今季最高となる4位に。今は集中しながらプレーを続ける。
技術面でも、スイング時のボディーターンの見直しや、カットショットの練習などを繰り返すことで、「フックが強くなっていた」という球筋をストレート気味のフェードに修正。パット面もアウトサイド気味に上がっていたテークバックを重点的に直した。そして、これらが六甲国際でハマった。
「久しぶりの良い位置。中京の4位は裏街道からだった。観客は入ってないですけど、久しぶりに(優勝争いの)空気を楽しめたらいいなと思っています」。トップに立つ稲見萌寧との4打差を、前向きな気持ちで追いかけていく。(文・間宮輝憲)
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