<日本プロゴルフ選手権 初日◇1日◇日光CC(栃木県)◇7236ヤード・パー72>
最終ホールの9番パー5でティショットを右のOBゾーンに打ち込んでボギーとしたものの、5バーディを奪い、「67」の4アンダーで初日を終えた石川遼。その数字には今後に向けて新たな可能性を感じさせる要素が盛り込まれていた。
最も顕著だったのがドライバーショットだ。近年は左右に曲がることを嫌がってか、ドライバーを持たないことが多かったが、「全米オープン」から積極的にドライバーを使用する方針に変えたという。しかも、45.5インチから47.5インチと2インチも長くしているのだ。
「ゴルフの基盤となるスイングが安定したことで狙ったところに飛ぶようになったからです。長くすると正確性をキープするのが難しくなりますが、そのデメリットをカバーできればな」とそれをカバーする術もしっかりと持ち合わせている。「たとえラフに打ち込んでも今の飛距離なら(コースを)広く使えるホールがいくつかあったし、残り150ヤードからグリーンを狙ったボールが4〜5ヤードしか転がらなければグリーンを長く使えるのでOKなんです」という考えがそれだ。
確かに石川がいうようにキャリー300ヤードに伸びたドライバーショットは大きな武器となるだろう。しかも、曲がったときのマネジメントもきちんと考えている。今季、石川のフェアウェイキープ率は53.44パーセント(73位)だったが、この日はドライバーを多く使ったにもかかわらず、64.29パーセントの数字を残している。すべての面において、ドライバーの多用がプラスに働いているのは間違いない。
この日、スタートの10番パー4でティショットを左の林に打ち込み、満足にスイングできない状況だったが、無理をせず、残り120ヤード地点のフェアウェイにボールを運んだ。そこからピン上5メートルに乗せて、パーセーブしたが、同じようにティショットを曲げた後、残り120ヤードに刻んでから、パーセーブしたホールがほかにもあった。120ヤードから3打目を打つのが曲げたときのマネジメントになっている。「もっとピンの近くに落とせるように精度を上げることが今後の課題です」と、反省していたが、曲げてもリカバリーできると思うことで、思い切ってドライバーを振れるのは間違いない。
昨年はパー4で4番ウッド→4番ウッド、4番アイアン→4番アイアンという攻め方を多用していた石川だけに、大変身ともとれるが、刻むマネジメントを封印したわけではない。絶対にパーセーブしたいときなど、いざというときは積極的にその攻め方を採用するつもりだ。
明らかに攻め方のバリエーションが増えた石川。米国帰りの時差ボケもなく、隔離生活にもストレスを感じることはないという。2年越しの大会連覇に向けて視界は良好なようだ。(文・山西英希)
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