早朝のスタートにもフィル・ミケルソン、リッキー・ファウラー(ともに米国)、そして松山英樹の注目組には大ギャラリーが集まった。とりわけ声援が大きかったのは51歳のミケルソン、しかしミケルソンのプレーが今大会で見られるのは今年だけかもしれない。「69」の3アンダーでホールアウトしたミケルソンは「ここに戻ってくる姿は見えない」と来年は戻らないことを断言した。その理由とは…。
大会前の火曜日に地元紙のデトロイトニュースが20年以上前にミケルソンが関わったギャンブルについての記事を掲載したことが発端。同紙は、ミケルソンがデトロイトで史上最悪の悪党と呼ばれたドン・デサランノらとのギャンブルでトラブルを起こし、50万ドル(約5500万円)が未払いとされているなか、ミケルソンは告発されていないという。
ミケルソンの怒りの矛先は記事を書いたロブ・スネル氏。「このタイミングで記事を出すことに、僕がこの大会に出るためにどれだけ時間を調整したかを理解していない。しかも20年以上も前のこと。彼の記事には敬意を感じない」とラウンド後にその思いを口にした。
5月、50歳11カ月で「全米プロゴルフ選手権」を制しメジャー最年長優勝記録を更新したミケルソンは、翌週の「チャールズ・シュワブ・チャレンジ」に出場。2週のオフは“生涯グランドスラム達成”のために、地元カリフォルニア州サンディエゴでの「全米オープン」(6月17〜20日)に「全力を尽くした」。残念ながら62位に終わったミケルソンだが、翌週は「トラベラーズ選手権」(6月24〜27日・米コネティカット州)に出場。そして今週のロケットモーゲージ・クラシックと連戦が続いている。
「もともとのスケジュールなら、本来は出ない大会だが、僕は今“全米プロチャンピオン”としてこの大会を盛り上げるべきだと思った。デトロイトのコミュニティの力になれればと思ったのに…」と怒りを露わにした。
ミケルソンは次週、7月6日(火)に慈善マッチに参戦。NFLのスーパースター、トム・ブレイディと組んで、ブライソン・デシャンボーとこちらもNFL、グリーンベイ・バッカーズのMVP、アーロン・ロジャース組とモンタナ州で対戦する。その後は渡英して「全英オープン」と多忙が続く。
「戻って来ないのはここのファンのせいじゃない。デトロイトのファンは本当にすばらしい」と話した。(文・武川玲子=米国在住)
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