<日本プロゴルフ選手権 3日目◇3日◇日光CC(栃木県)◇7236ヤード・パー72>
「久々にボギーフリーのラウンドができて気持ちいいですね」。ボギーフリーの7バーディで「64」をマークした池田勇太が笑顔を見せた。2位に1打差とはいえ、トータル12アンダーで単独首位に立ったことも満足できるのか、ラウンド後の会見では“勇太節”が際立った。それもそのはず、今大会を開催する日光CCは、池田が人生で初めて出場した「日本オープン」(2003年)を開催した思い出の地でもあるのだ。
その大会では19位タイでフィニッシュし、ローアマチュアのタイトルを獲得。プロの試合で初めて結果を残しただけに、池田にとってはトーナメントで戦う上でのスタート地点だと言うのだ。しかも、本大会は09年にツアー初優勝を飾った大会でもある。まさに2つの大きなメモリアルが重なっているだけに、かなり前から今大会に照準を合わせていた。
これまで狙った大会を制する確率が高い池田だが、今回は自分の思い通りには事が運ばなかった。「ジャパンプレイヤーズチャンピオンシップ by サトウ食品」の準備に奔走し、大会前まではそのことだけ頭が一杯だったのだ。しかも、大会が終了した後は、ホッとしたことで気持ちが緩んでしまったという。
とてもじゃないが、自分のゴルフに集中できる状態ではなく、大会後の5試合では5位タイが1度あるものの、3試合で予選落ちしている。
しかし、予選落ちした「日本ゴルフツアー選手権 森ビル杯」の後、2週間のオープンウィークでリフレッシュできたのか、やる気スイッチがオンになったという。しかも、幸運なことに「ダンロップ・スリクソン福島オープン」と今大会はギャラリーの入場が認められた。
「やっぱりギャラリーがいる中でゴルフをしないと“池田勇太”は出ないというのが、よく分かりました。熱気というか、人がいるありがたみをこの2試合で感じられましたね。今日もいろんな人が背中を押してくれたと思います」
ドライバーショットの飛距離、方向性、アイアンショットの正確性など、そのポテンシャルがトップクラスであることはだれもが認めるところ。今大会でもパーオン率とパーキープ率は1位を誇る。そこに人並み外れた集中力が加わると、爆発的なスコアをマークする。それが本来の池田のゴルフスタイルだが、ようやくその実力を発揮できるときがきた。
3打差以内に5人と混戦ではあるが、最後までトップの座を譲る気はない。「最終日は自分の調子を見極め、1ホール、1ホールクリアしていけば、自ずといい成績に結びつくと思います」と語った池田。今大会を制すると歴代単独2位となる12シーズン連続優勝(尾崎将司はが15シーズン連続で1位)、4つ目の日本タイトル獲得、そしてツアー通算22勝となるが、焦らずにじっくりと戦っていく。(文・山西英希)
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