<ボランティアズ・オブ・アメリカ・クラシック 最終日◇4日◇オールドアメリカンGC(米テキサス州)◇6459ヤード・パー71>
25歳のコ・ジンヨン(韓国)が今季初勝利を挙げた。前週のメジャー「KPMG全米女子プロ選手権」でネリー・コルダ(米国)が勝利したことで、コ・ジンヨンは約2年間守ってきた“世界ランキング1位”の座を明け渡した。
女王の座を奪われたことがモチベーションになったのかと思われたが実は逆だった。「失ってみて初めて分かった。ずっと世界ランキング1位でいることに、ものすごくプレッシャーを感じていた」と本来のゴルフを取り戻しのびのびとプレー。2020年の「CMEグループ・ツアー選手権」以来の勝利でツアー通算8勝目を手にしたが、これで17年以降のシーズン連続勝利も伸ばしたことになる。
2日目の悪天候により、ジンヨンは土曜日に31ホールをプレー。「朝4時半に起きてから、夜9時までコースにいた」と長い1日を過ごしたが、「第3ラウンドを終えることができたおかげで、日曜はゆっくり眠ることができた。終わらせたのはいい決断だった」と流ちょうな英語で話した。その32ホールの長丁場の3日目、第2ラウンドの6番でスコアを落として以降は第3ラウンドの終わりまでボギーなし。最終日も4ホール目までに3つのバーディ、ボギーなしが32ホール続いたが、5番パー3でそれは途絶えた。
それでも終盤の7ホールをパーで切り抜け、マチルダ・キャストレン(フィンランド)を1打差で振り切った。ちなみにジンヨンは19年に114ホールのボギーなし記録を達成。これは20年のタイガー・ウッズの110ホールを抜く記録だった。このときにも「記録が終わってよかった…ずっとプレッシャーだった」と話しており、プレッシャーに弱い一面もうかがえる。
テキサス州ダラスに米国での拠点を持つジンヨンにとって今大会はホームゲームだった。そのなかで多くの韓国人ファン、そして両親が見守るなかで勝利した。「今週は父の誕生日だった。本当は両親が来るとプレッシャーを感じてあまりいいプレーができないことが多い。だけど今週のコースは自宅から30分。来ないわけにはいかなかった…(笑)」と両親の前での勝利をよろこんだ。
「世界ランキング1位を失っても私は生きている。なんの問題もない。もう世界ランキング1位のことを考えなくてもいい。この2〜3カ月は納得いくプレーができなかったが、きっとこれからいいプレーができると思う」。このまま快進撃が続けば、再び世界ランキング1位に返り咲く日も遠くないのかもしれない。(文・武川玲子=米国在住)
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