<ニッポンハムレディスクラシック 2日目◇9日◇桂ゴルフ倶楽部(北海道)◇6763ヤード・パー72>
東京五輪女子ゴルフ代表に決まった稲見萌寧が「68」をマークし、1オーバー・56位タイからトータル3アンダー・11位タイに大きく順位を上げた。これで「アース・モンダミンカップ」、「資生堂 レディスオープン」に続く3試合連続予選落ちを回避。それどころか首位と5打差で、今季7勝目もうかがえる位置についた。
序盤の3番パー5で大ピンチが訪れた。ここは左ドッグレッグで、3打目地点となるグリーン前のフェアウェイすぐ左に急斜面が待ち構えているホールなのだが、その斜面の下にセカンドショットを落としてしまった。ボールを探しにいくときも、「どこにあるのかドキドキ」という状態。そしてアドレスできたのは、ライはそこまで悪くないものの、足はブッシュのなかで、さらにつま先上がりの斜面だった。
いくら背伸びをしてもピンが見えない場所からのショットだったが、「思ったよりもしっかり打てた」とグリーン右のラフまで運ぶ。そこでも「難しいアプローチ」を強いられたが、なんとかピン右手前2メートルまで寄せ、パーパットをねじ込んだ。カップにボールが落ちると、気合のガッツポーズも飛び出す。「そこを乗り越えることができて流れが変わった。チャンスにつく回数も増えました」と、その後の浮上のきっかけになるビッグプレーだった。
そこからは6番で11メートルのパットを沈め初バーディを奪うと、後半も3つ伸ばしてホールアウト。さらには時折強い風が吹くコースでボギーフリーと、強い稲見が戻ってきた。3試合ぶりの予選通過に、「やっと通れた。初日の順位で、“3週連続(予選落ち)”もあると思ってしまった。乗り切れてよかった」と胸をなでおろした。
精度の高いショットを武器に今季6勝を積み重ねてきた。しかし、最近は左へのミスが出始め、スコアメイクに苦しんだのが不調の一つの要因となった。その解消のために、「インパクトの時、右手でボールを押してしまうイメージがあった。その“右手でガンッ”をなくそう」とスイングを修正。この効果が出始めている。「スライス、こすり球はOK。左にミスがでなくなっただけでも先週、先々週に比べたら成長できています」。ここからも徹底を続け、さらに不安を小さくしていきたい。
残り1カ月を切った五輪でのラウンド(8月4〜7日)に向けてもいい材料となるが、今は「3週連続予選落ちを阻止できたし、60台も出ていなかったので、そのあたりが大きい」と最低限の仕事を果たせたことに意味を感じる。「失うものもなくなったので、楽しくプレーできそうです」。気持ちも軽い状態で、決勝ラウンドに向かうことできる。
米国ではもう一人の代表も奮起した。2週前の「全米女子プロ」で予選落ちを喫していた畑岡奈紗が「マラソンLPGAクラシック」初日に「61」のビッグスコアを出し、単独首位に立った。そして、それに呼応するかのように稲見も活躍。日本勢のメダル獲得に、光が射す一日になった。(文・間宮輝憲)
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