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誘われていった海外メジャーで初出場初優勝 小柄な日本人の優勝に海外選手も呆然【名勝負ものがたり】

歳月が流れても、語り継がれる戦いがある。役者や舞台、筋書きはもちろんのこと、芝や空の色、風の音に至るまで鮮やかな記憶。かたずをのんで見守る人々の息づかいや、その後の喝采まで含めた名勝負の数々の舞台裏が、関わった人の証言で、よみがえる。
今回の名勝負は2013年全米プロシニア。大会初出場の井戸木鴻樹が、自分でも考えていなかったビッグタイトル獲得の記憶をたどる。
どんどん増していく集中力。最終組の2つ前でプレーしていた最終日。大詰めの15番グリーンを終えた時、一緒に歩いていたマーカーが井戸木の方を叩いた。「『(リーダー)ボードを見ろ』って言うんですよ。見たらトップに並んでいました。それまで、ボードを見ていなかったわけじゃないのですが、トップだとは思っていなかった」。次の16番では手が震えた。だが、集中力が勝っていた。200ヤード以上ある難しいパー3。4Wでティーショットを打とうとスイングを始めると、ボールの上に虫が飛んできた。「ドキッとしたけど、ダウンスイングに入る瞬間だったので、そのまま振り切ったんです。ヒール球でしたが、ナイスミスになってカップから12〜3mのところに乗ったんです。これをOKに寄せてパー。難しいホールなので一安心しました」。
前年、日本のシニアツアー賞金ランキング2位で出場権を得た全米プロシニア。ミズーリ州セントルイスのベルリーブCCで行われる大会への出場は、賞金王だった尾崎直道に「行ってみようか」と言われて決めた。
「名前の売れている選手たち相手に、自分の技術がどこまで通用するのか。予選通過が第1条件くらいの気持ちでした。優勝?全然考えていませんよ」と臨んでいる。
初日はイーブンパーの「71」で30位タイと静かなスタート。2日目の2つスコアを縮め、首位堵5打差の8位タイに浮上した。第3ラウンドは3アンダー。トータル5アンダー5位タイまで順位を上げたが、首位のケニー・ペリー、ジェイ・ハースには5打のビハインドだった。
「初日、2日目、3日目とどんどん良くなっていく間に、4人いた日本人の中ではトップで終わりたいなと言う気持ちが出てきました」。この時、出場していたのは直道の他に室田淳、高見和弘。直道は米レギュラーツアーでの経験が豊富で、室田はシニアのメジャーで優勝争いを何度も演じていた。
こうして迎えた最終日は、自然にゴルフに集中できていた。首位でスタートしたペリーはツアー14勝。2打差2位のハースも9勝で、揃ってシニアの世界でも実績を積んでいる、百戦錬磨の2人に対し、初めて参戦する井戸木は、日本選手以外にはほとんど知られていない。ノーマークの中で、どんどんバーディを重ねて行った。
16番をパーで切り抜けると、次の17番は、右にクリーク、左にバンカーが待ち受けるパー5。「こわごわティショットを打ったらフェアウェイに行った」。4Wでレイアップしたつもりが「計算ミス。届かないように軽めに打ったのに、入れてはいけない右手前のバンカーに入れ得つぃまった」と言うピンチを迎える。
実は、2日目も3日目もこのバンカーにつかまっていた。残りは約60ヤード。ここから3メートルに乗せることができた。残ったのは下りのバーディパット。「練習でチェックしていたラインでした。スライスしてフックする下りのライン。思った通りに打てて、思った通りに入った」とバーディを奪う。トータル11アンダー。
最終18番では、さらに高まった集中力で臨んだ。「フックがきつくなるのを嫌ってコンパクトに振ることをだけを考えた」ティショットは、見事にフェアウェイのセンターへ。6Iの2打目も、風をうまくジャッジして2オンする。グリーンに歩いて行く途中で、2打差単独首位に立っているリーダーボードが見えた。
実は16番でパーを取ったあたりで、後続が17番でバーディを獲っても、プレーオフに行けるかな、と考えていた。だが、ボードを見る限り、後から来る面々は2打ビハインド。このままいけば優勝できる場面だ。
だが、井戸木には苦い思い出があった。以前、日本で優勝争いをしているとき、最終ホールのまちがったボードに振り回された。「首位タイで並んでいるのを見て『パーでプレーオフ』と思って2パットで上がった。でも、ボードがまちがっていて、本当は1打負けていた。だったらバーディを獲りに行ったのに。ものすごく頭に来たんです。だからこの時も『2打差?でもボードがまちがってるかもしれない、とにかくパーで上がらなきゃ』と言う気持ちでした」と、パーで上がった。トータル11アンダー。ボードはまちがっていなかった。
最終組のペリーは、バックナインに崩れてスコアを落とし、トータル9アンダー。ハースは1つスコアを伸ばしたものの9アンダーどまり。2打差で、井戸木の優勝が決まった。
会ったこともなかった“小柄で飛距離もさほどない日本人”に優勝をさらわれ、呆然とする2人。それを尻目に、この日「67」のチャージで5位に入った室田、19位の尾崎の2人が、グリーン再度で見守る中、井戸木は米国人の中に入ると小柄な身長167センチの半分以上の大きな優勝カップを高々と掲げてみせた。
シニアの試合とは言え、日本人男子としては初めてのメジャータイトルに、日本は大騒ぎになった。帰国まで時間があった井戸木は、日本プロゴルフ協会のスタッフに日本の騒動を聞いて「恥ずかしいな」と思いながら帰国した。
その後、試合でスタートする度に「全米プロシニア優勝の〜」と言われることが重圧になった。うれしいことには違いないが「その名前に負けないプレーをしなくちゃいけない」と言う焦りもあって苦しんだ。故障もあった。ようやくそこから解放されたのは、ごく最近のことだと言う。メジャータイトルのずっしりとした重みが、ここにある。(文・小川淳子)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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