<NEC軽井沢72ゴルフトーナメント 最終日◇15日◇軽井沢72ゴルフ北コース(長野県)◇6679ヤード・パー72>
決勝ラウンドは9ホール、2日間27ホールの短期決戦。2位に3打差の単独首位から出た小祝さくらが、ボギーなしの2バーディ「34」で回り、トータル10アンダーで2位のサイ・ペイイン(台湾)に2打差をつけて、「Tポイント×ENEOSゴルフトーナメント」以来、5カ月ぶりの今季4勝目、通算5勝目を挙げた。
スタート前は「3打差は自分が落としたら(差は)すぐに埋まってしまう。自分のゴルフをすることだけを考えていました」と、スコアを落とさないことが逃げ切りの第一条件とした。13番パー5の3打目を深いラフから30センチに寄せてバーディ先行とすると、14番パー4でも3メートルを沈めて後続を突き放す。その後もボギーを打たずに9ホールを回りきったが、技術の高さを見せるラウンドだった。
「ショットもパットも調子がよかった」と今大会を振り返ったが、パー3を除く14ホール中10ホールでフェアウェイをとらえて「64」をマークした第1ラウンドと違い、この日は、7ホール中、一度もフェアウェイをとらえられなかった。連日の雨で水分を含んで重くなったラフは、クラブのネックに絡んで左に飛んだり、打点がズレて飛ばなくなりやすい状況。ラフに入れると苦戦する選手が多い中、小祝は、7ホール中6ホールでパーオンに成功。スコアを落とすようなピンチを招かず、後続にスキを見せなかった。
決勝ラウンド進出者で唯一のフェアウェイキープゼロに思わず笑みをこぼしたが、「一番難しかったのは18番の2打目」。地面も水分を多く含み、ラフも重い。グリーンのすぐ左には池がある。ここで左に曲げて池に入れるとダブルボギーの可能性もあり、優勝争いが混とんとするシーン。「左にひっかけないようにカット気味に打ちました。上から入れないと打点が狂うなと思って打ちました」と振り返る。
ピンまで145ヤード、7番アイアンでカット気味に打ったボールは、真っすぐ飛んでグリーンをキャッチ。優勝に重要な1打をさらっと打った。持ち球はドローだが、日ごろからラフではカット気味に打つ練習をしている成果が出た。「今年はいろんなショットを打てるようになっている」と状況に応じて打ち分けられる技術が、賞金ランキング1位という今の位置にいる。
6月の「宮里藍サントリーレディスオープン」で5位に入って以降、7試合連続でトップ10入りを逃していた。「ショットの調子が悪かった」とアイアンショットの精度を欠き、ピンに絡むショットが影を潜めていたという。「前半どうやって2勝したんだろうって不思議に思うぐらい自信を無くしていました」。東京五輪で試合のなかった前週、辻村明志コーチとのプチ合宿でショット、パットともに改善された。「1週間の練習は大きいんだなと思いました。持ち味のショットが戻ったのは大きい」とオープンウィークの練習の重要さを感じた。試合を休まない鉄人・小祝だが、秋に1試合休んで、終盤戦の賞金女王争いに備えるプランも立てた。
最終戦まで残り15試合。「まだまだここから頑張らないとダメなので、優勝したのはうれしいけど、来週から気を引き締めてやりたい」。悲願の賞金女王獲りで手綱は緩めない。(文・小高拓)
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