<日本女子オープン 3日目◇2日◇烏山城カントリークラブ(栃木県)◇6550ヤード・パー71>
首位との2打差を追いコースに出た第2ラウンドは、渋野日向子にとって苦しい一日となった。スタートホールの10番で、いきなり4パットのダブルボギーを叩くと、さらに唯一のバーディは終盤の7番で奪ったもの。ほかにも3つのボギーもあり「75」とし、4位タイからトータル1オーバーの33位タイまで順位を落とした。
だが、そのラウンドではギャラリーを沸かせる2つの“奇跡”も見せた。それが前半最後の18番パー4でのこと。ドライバーで放ったティショットは、直後に手を離すほど気持ち悪さを残し、左に出たボールは、フェアウェイのさらに左へ。池が待ち構える方向に飛んでいった。
“最悪の事態”になっても、なんら不思議ではない状況だったが、ボールは土俵際、かろうじてラフに残った。しかし、今度はすぐ横に池があるのが問題となる。ここで渋野は、靴と靴下を脱ぐと、その足を一度池に突っ込んだ。「もし池に足を入れて打てるようなら、近くに寄せて3打目を打ったほうがパーの可能性がありました」。ただ、思いのほか足元が滑り、これは断念。「左打ち」も頭をよぎったが、リスクも考慮し、結局アンプレヤブルを宣言した。
一打罰を加えての続く3打目は、グリーンに乗ったものの、ピン右9メートルとピンチは変わらない。しかしジャストタッチのパーパットは、コロコロとカップ方向に転がり、そのままスッと消えた。するとギャラリーはまるでイーグルでも見たかのように大盛り上がり。「あのガッツパーですごく盛り上げてくれた。ギャラリーさんがいてくれたことがうれしいと思った。ちょっと恥ずかしかったですけど(笑)」と複雑そうな笑みもこぼれる一幕となった。
「まずボールが(池に入らず)残ったのも奇跡。あの(パーパットの)距離が入ったのも奇跡。あそこだけ誰か助けてくれたのかな」。渋野は18番でのプレーを、会見でこう振り返る。一度はその時点での予選通過圏外まで順位を落とす時間も過ごしたが、7番のバーディもあり、まずは決勝ラウンド進出という最低限の仕事を果たした。
「2度とこんなゴルフはしたくないと思う内容。切り替えて、なるべく今よりいい位置で終われるように頑張りたい」。ムービングデーに、今度は“奇跡の逆転”への足掛かりを作りたい。
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