日本男子ナンバーワンを決めるナショナルオープン「日本オープン」と同週に行われるのは「富士通レディース」。いよいよ深まってきた秋の戦いを制するのは誰なのか。青木瀬令奈のコーチを務める大西翔太氏が展望を語る。
____________________
■さらに伸びた総距離 飛ばし屋がさらに有利に
昨年大会から総距離が伸び、グリーンも硬く速くなったことで一気に難易度が増した今大会。今年はそこからさらに距離が伸びた。8番パー3に至っては20ヤード伸びて213ヤード。これまででも十分に難しかったホールがさらに選手に牙をむく。
「たとえば左ドッグレッグの12番ホール(402ヤード・パー4)のティショットはバンカーラインまで220ヤード。飛距離が出ない選手だと右を迂回しないといけません。そうなるとスプーンやクリークを持つこととなる。かたやバンカーを越えていける選手は8番アイアンくらいを持てる。そこには歴然の差があります」
一方でラフはそこまで長さもない。グリーンは「硬くて速い。11フィートでコンパクションが24を目指すと言っていました」というが、ここで今大会の特徴がもう一つ。秋の長雨である。今年も土曜日、日曜日に怪しい予報が出ている。「大きな球でキャリーで飛ばせる選手が圧倒体に有利になります」と言い切った。
■復調気配の飛ばし屋のギアが上がってきた
そんななか大西氏が注目するのがツアーきっての飛ばし屋・渡邉彩香。現在ドライビングディスタンス6位(252.98ヤード)。また、15年大会では2位に入っており、コースとの相性も悪くない。
「先週一緒の組でプレーさせていただいたのですが、目に見えて状態が良くなっていました。飛距離も飛んでいますし、パターも入りだしています。基本的に選手はシーズンでいいとき悪いときの波がありますが、今はかなりいい流れが来ていると思います」
もともと雨を苦にしないタイプというのも好材料。「もちろん飛距離がアドバンテージなのですが、苦手意識がないということも大事です。昨年のアース・モンダミンカップ以来の優勝を期待したいですね」と太鼓判を押した。
■飛ばし屋のなかでも…10年ぶりの優勝は近い
飛距離が大事とあって「もちろん、ドライビングディスタンス1位(259.30ヤード)の原英莉花さん、2位(254.76ヤード)で日本女子オープンを勝ったばかりの勝みなみさんも注目ですが」と前置きしたうえで、ピックアップしたのが12位(245.49ヤード)の藤田さいき。
「やはり今年は相当飛んでいます。“スピンが入りすぎて困る”と言えるのなんて女子ツアーでは藤田さんくらいです。ここ数試合トップ10こそ入っていませんが、常に上位で戦えています。ショートゲームもうまいですし、何よりダブルボギーを叩かない。ベテランならではの巧みさもいい方向に導いてくれると思います」
さらにこんな部分でも。「賞金シードが気になる時期になってきましたが、藤田さんはもう決めていていい意味で余裕を持ってプレーできる。また、今大会は2011年に優勝した思い出の戦いでもあると思います。10年ぶりの優勝も十分にあると思っています」と35歳の飛ばし屋に期待を寄せた。
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、10月12日には著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売。
<ゴルフ情報ALBA.Net>