<富士通レディース 初日◇15日◇東急セブンハンドレッドクラブ(千葉県)◇6679ヤード・パー72>
アマチュアだった2019年の「富士通レディース」で優勝しプロ入りを果たした古江彩佳が、思い出の地で会心のゴルフを見せた。初日に奪ったバーディは8つ。最終18番で初めてボギーを叩いて7アンダーフィニッシュとなったが、首位の勝みなみとの差はたったの1打で、同じプラチナ世代の西村優菜と並ぶ2位で発進した。
「全体的に安定したプレーができました。バーディパットが入ってくれたのがよかったです。今のところは運よく、いいゴルフができています」と謙遜して話したが、ショットもパッティングもこの日はキレていた。その証拠に18番も「仕方がないボギー」と悔いは見せなかった。
ショットのキレがいいのは、2年前にアマチュア優勝し、昨年も2位タイに入った相性のよい大会だというだけではなかった。遊び感覚を取り入れてラウンドしていたことも、好調の波を引き寄せるのを手伝ったようだ。
「右に行かせないゴルフを、ゲームに仕立ててやっていたんです。1番ホールの3打目で右に行かせたくなくて“ビビったねぇ”とキャディさんに言ったら、『それを数えていこうよ』ってことになって。“ビビるポイント”のチェックをしながら回りました」
グリーン左奥が怖くて右に逃げたり、手前が怖くて右へ行ってしまったなど、計4回右に逃げたショットがあったという。だが、この遊び感覚が心に余裕を持たせたのだ。怖さを感じれば体が硬化してミスを誘発するし、プレッシャーだって強く感じてしまうはず。その怖さをゲームに仕立てることで、上手に軽減させたというわけ。古江はこの“ビビるポイント”遊びをいつもやっているわけではない。この日が初めてだったという。
見事なサポートをしたキャディは、日本プロキャディ協会の会長を務める森本真祐氏だ。森本キャディは、全盛期の谷口徹のバッグを担ぎ、女子では鈴木愛の優勝に何度も貢献してきたベテランである。残り2日間、森本キャディがどのようなサポートを見せるのかも楽しみだが、何よりも大切なことは古江自身が己をどこまで貫けるかだろう。だがそれも古江は理解している。
この日はハーフを上がった時点で4アンダー。いいポジションだなと思っていたら、それでももっといいスコアを出している選手がいた。そのとき「頑張らなくちゃ。自分らしくと、気を引き締めました」と、古江は言っていた。この「自分らしく」が、己と向き合う時間が長いゴルフでは重要となる。
残り2日間、「自分らしく、弱気にならず攻めていきたい」と話した古江のラウンドから目が離せない。(文・河合昌浩)
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