<マイナビABCチャンピオンシップ 初日◇4日◇ABCゴルフ倶楽部(兵庫県)◇7217ヤード・パー72>
19歳のルーキーが50回目を迎える歴史のある大会で、5バーディ・ボギーなしの「67」をマークし、首位と2打差の5アンダー・4位タイの好位置につけている。
若者の名前は久常涼。「アマチュアのタイトルには興味がない」と、高校3年生だった昨年プロ転向。ツアーの出場優先順位1212位と下部ツアーの出場も難しい状況だったが、推薦で出場した下部ツアー「太平洋クラブチャレンジトーナメント」で3位タイに入ったのをきっかけに、下部ツアーで3勝を挙げてレギュラーツアーに昇格。賞金王となって来季のレギュラーツアー出場権も確保と、異例の出世街道を歩んでいる。
先月、千葉県の習志野カントリークラブで行われた米国男子ツアー「ZOZOチャンピオンシップ」には、主催者推薦で出場。大きな刺激を受けた。「やっぱりショートゲームの精度だったりゴルフの組み立て方が、僕ができるゴルフと、向こうの選手のできるゴルフに差はあるなと感じました。このままでは全然ダメだなと思ったので、早くあっちに行ける準備ができてればいいかなと思う」。トータル5オーバー・52位に終わったが、最終日には「66」と4つスコアを伸ばして存在感を見せた。
日本開催ながら普段とは違う米ツアーのコースセッティングでプレーし、特に必要性を感じたのはロングアイアンの精度。「日本ツアーよりロングアイアンを持たされる頻度が多くて。やっぱり200ヤードでもフェアウェイからだったら、ピンを狙っていける精度が求められる。けっこうロングアイアンの練習をできていたので、ZOZOの週の終わりからずっとロングアイアンの調子がすごくいい。ショット自体も少し良くなったと思います」。国内ツアーのパー4ではほとんど握ることのない4、5番アイアンの精度により磨きをかけている。
練習の成果が発揮されたのは3番パー3。220ヤードの距離を4番アイアンで「ホールインワンしかけて10センチについた」というスーパーショットでバーディを奪った。
それでも世界との差、ZOZOで練習ラウンドをともにした松山英樹との差はまだまだ大きいと感じている。「僕はあのセッティングで(松山の優勝スコアの)15アンダーを出せる自信がないですし、次元が違う選手だなと思いました。そこを目指しているので、早く追いつけるように一歩ずつ頑張っていきたい。課題は見えているので、まず日本ツアーで実践して、結果を積み重ねてアメリカに行ければいいかなと思う。あとは結果を残すのみです」と、最後は語気を強めた。
この大会に勝てば、石川遼、黄重坤(韓国)、松山英樹に続く、史上4人目の10代でのツアー優勝がかかる。「早く1勝したい」という若手のホープが、来季の出場優先順位が高いレギュラーツアーの賞金シード、そしてツアー初優勝を目指して、残り3日間に向かう。
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