<伊藤園レディス 初日◇12日◇グレートアイランド倶楽部(千葉県)◇6741ヤード・パー72>
開幕前日の11日(木)の練習ラウンドを体調不良によりキャンセル。出場も危ぶまれた渋野日向子だったが、最大瞬間風速16.8m/sの強風が吹くなか元気に18ホールを回り切った。3オーバーの32位タイと、まずは大崩れすることなく初日を終えた。
この日、気になったのが飛距離の低下。初日のドライビングディスタンスは41位で、ツアーでも飛距離上位につける西郷真央はもとより、シーズンのドライビングディスタンス64位の山下美夢有にも後れをとる場面が見られた。劇的優勝を果たした「樋口久子 三菱電機レディス」で記録した4位の豪打は鳴りを潜めた。
誰もが考えた体調不良の影響。しかし、渋野は「全く問題ありません」と否定する。では、何が起きたのか。それは風に対抗すべく考えた策だった。
「ティショットはコントロールを重視しました。風が強いなかでマン振りするよりも自分のスイングを徹底して、ミスを少なくすることを考えました。その分、若干飛距離は落ちたと思います」
強風、特にアゲインストとなればより振ろうとしてしまうもの。だが、それではここ最近心がけてきた「ゆっくりトップまで上げて切り返しで早くならない」ことができなくなり、ショットが荒れてしまう。それゆえ“風に負けない”、ではなく“ミスを減らす”自分のスイングを心がけ大けがを防いだのだ。
また、ほかのクラブについては低い球を意識。「ボールをいつもよりも右に置いて風に負けない球を打ちました。その分キャリーは落ちていたと思います」と、強風に左右されない球で攻め続けた。その結果、飛距離は落ちたものの「ショット的には以前に比べると、この風のなかでは安定していたと思います」。キャップが飛ばされるほどの強風のなかでも大崩れしなかった。
風との調和が一番に発揮されたのが最終ホール。ティショットは右のラフ、右奥のピンまでは約175ヤードと距離が残った。ピンラインに攻めていこうとすれば目の前の木を意識してしまう場面。左からの強い風が吹く状況で、7番ウッドを開き気味に構えて放った打球は風に乗るスライスでピン左3.5メートルにつける極上のショットになった。「きょうのショットオブザデイでした。思い通りのショットが打てました。今まではああいうショットはできていなかった。ちょっとは成長しているのかなと思います」と白い歯を見せた。
細かい要所でのミス、決められなかったバーディパット…。反省点はあるが、「3パットもしなかった。まぁまぁだったと思う」とスコア以上に収穫のある1日だった。明日の天候は晴れで、今のところは風も穏やかな予報。そうなれば今度は絶好の豪打日和となる。(文・秋田義和)
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