<伊藤園レディス 初日◇12日◇グレートアイランド倶楽部(千葉県)◇6741ヤード・パー72>
4アンダーで初日首位に立った上田桃子だが、この好発進の裏にはある“思いやり”があった。
ピンフラッグが強くたなびくほどの強風に見舞われた1日。そのなかでも「風が強い予報が出ていたけど、昨日と同じ方角からの風ということもあって、きょうを想定して練習できたのが大きかった」と入念に準備をし、それが功を奏した。8番、13番ではピン奥6〜7メートルのバーディパットを決めてスコアを伸ばしたが、これも「フォローの風を計算して、ビタっとつけたかったけど、手前からのアプローチで微妙な距離が残るとシビアになる。奥からでもいいクラブ選択をした」というマネジメントが実ったものだった。
普段指導を受ける辻村明志コーチが、今週キャディを務める。ラウンド中の「強風のなか置きに行く(スイングをする)と曲がるから振り切れと、3〜4回言われました」というアドバイスもスコアに結びついた。ただ何よりホッと一安心だったのが、そのコーチに大きな負担をかけないラウンドができたことだ。
実は昨日、辻村コーチは車から降りる際に足場を踏み外し転倒。その時に左足の人差し指と小指の2本を骨折した。「レントゲンを見たらはっきり折れていた」ため、キャディを替えることも検討したが、コーチ自身が“強行出場”を希望。「よく歩けるな」と上田が思う状態だったが、風のなか教え子のラウンドを支え続けた。
「無駄な動きをさせないようにと思ったけど、ラインも熱心に読んでくれた。あまり無理させないようにいいゴルフをしたい」。こんな思いが実った形だ。辻村コーチも、この日の上田のラウンドにはご満悦。プレー後には『いいゴルフをしたから(骨が)くっついたよ』と冗談交じりに労いの言葉をかけたほどだ。
先週の「TOTO ジャパンクラシック」は2位タイから出た最終日に「75」とスコアを落とし、悔しい思いもした。その時も風が回るコースでのプレーだったが、きょう思いっきりのいいラウンドをしたことで「先週は置きにいってたな」ということも改めて再確認した。「54ホールの集中力と、回り方を大事にしようと(コーチと)話していたので、そこを大事にできれば」。“相棒”が痛みを忘れるくらいの好プレーを、残り2日間も続けていきたい。
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