常に真剣勝負に身を置き、戦いを続けるゴルファーたち。過酷な環境でクラブを振っているからこそ出る力強い名言、ウィットに富んだジョーク、そしてちょっぴり天然な迷言たちがある。そんな“ゴルファーのことば”を紹介。プロゴルファーなら誰もが目指すのがツアー優勝。特に初優勝は様々な形で訪れる。2018年に初優勝を遂げた重永亜斗夢のことばは印象的だった。
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「遼きたね、遼きたね」
優勝するときは最終日に首位からスタートしての逃げ切り、2位以下から追いかけて逆転、1位から出たが途中逆転されて、終盤に再逆転するパターンがある。ツアープロたちの話しを聞くと、ずっと首位を守って逃げ切るのが気持ち的には辛いという意見が多い。初めての優勝が懸かった状態で逃げ切り優勝を遂げるのは、もっとも難しいとされる。
それを遂げた一人が重永亜斗夢。ツアー初優勝を遂げたのは2018年の「東建ホームメイトカップ」。2位の石川遼、片山晋呉に4打のリードを奪って最終日を出た。「永久シードの片山さんと一時代を築いた遼。意識しないわけがない」というビッグネーム2人の存在の“重圧”もあり、前半だけで3つ落として石川に1打差まで迫られたが、後半は1つ伸ばして1打差で逃げ切った。
ビッグネームを相手に差を詰められた時には、緊張感に包まれて自分のゴルフができていないと思われたが、変な緊張はなかったという。「ここでボギーを打ちたくないなとか、自分の欲に対してのいつも通りの緊張はありましたけど、優勝争いの変な緊張はなかったです。むしろ、遼きたね、遼きたね、さすがだな。あんなのよく入るなとかキャディと話していました」。優勝争いを客観的に見ていたことで、自分にプレッシャーをかかることがなかったという。
優勝を意識したのは18番。「これはワンチャンあるな」と。1打リードしているにも関わらず、追う側の気持ちで臨み続けたことが奏功した。「この2人と回って勝てたのは死ぬまで自慢できます」。ビッグネーム2人を相手に、いつも通りのプレーで遂げた初優勝は、“1勝”以上の大きな価値のあるものだった。
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