常に真剣勝負に身を置き、戦いを続けるゴルファーたち。過酷な環境でクラブを振っているからこそ出る力強い名言、ウィットに富んだジョーク、そしてちょっぴり天然な迷言たちがある。そんな“ゴルファーのことば”を紹介。今回は2019年に初めて全英オープンに出場した浅地洋佑のことばだ。全英オープンの難しさを物語っている。
——————————–
「チーピン打ってようやく風に勝つ」
海外の4大メジャーは誰もが欲しいタイトル。他の試合よりも力の注ぎ具合いが格段に上がり、レベルも高くなる。4大メジャーの1つ、全英オープンは1日の中に四季があるといわれるほど天候の変化が激しく、自然との戦いともよく言われる。
2019年に北アイルランドのロイヤルポートラッシュで行われた「全英オープン」。初出場ながら予選通過して4日間戦った浅地洋佑は、最終日に全英の洗礼を浴びて「76」とスコアを崩して67位タイに終わった。
練習日から3日目まで全英らしからぬ、割と穏やかな天候が続いたが、最終日に雨交じりに強風が吹き、“全英”らしい天候となった。「風に乗せる作戦でしたが、風に乗るとどこまで曲がっていきました」。右から風が吹いていたら目標より右に打ち出して風に流されて狙ったところに運ぶ。左から吹いていたら左に打ち出して風に流されて狙ったところに運ぶのが風に乗せる作戦だ。
しかし。浅地の持ち球は左に曲がるフェードボール。右から吹く風には対応できたが、左から吹く風にはボールの回転が合致してどこまでも右に流された。
“想定外”に右に流されたホールは、ポットバンカーや深いブッシュにつかまるなど、ダブルボギー、トリプルボギー。終盤は「左からの風にドローを打ちましたが、それでも流されます。最終ホールはチーピンを打って、ようやく風に勝ってフェアウェイをとらえました」。打った瞬間、「あっ!」となる強烈に左に曲がるチーピンでちょうどよかった。
「日本の風と違って重さがあり、影響が大きい。風に乗せるだけでなく、風にぶつけたり、風の下を通したり、いろいろな球筋が必要です」。4日間を通してショートゲームは通用していた。全英で戦うためにショット力の向上を課題として持ち帰った。
日本では経験できない質の風。慣れ親しんだ欧州勢が全英で強いといわれるのも納得する。やはり松山英樹のように世界の舞台で場数を踏むことが成功へのカギとなりそうだ。
<ゴルフ情報ALBA.Net>