<PGAシニアツアー予選会・最終予選 初日◇2日◇トム・ワトソンゴルフコース(宮崎県)◇6741ヤード・パー72>
日本大学ゴルフ部同期の片山晋呉、宮本勝昌とともに「日大三羽ガラス」と呼ばれ、プロ転向後も20代から活躍し、国内男子ツアー通算5勝を誇る横尾要。その風貌は若い頃とあまり変わらずスタイリッシュなままだが、今年7月に50歳を迎えてシニアデビューとなる。
国内男子の「レギュラーツアー2勝以上」の資格を行使すれば1年間のシード権が付与され、ツアーに参戦できる。しかし、「(50歳になるまでの)4試合に出られないので」と、今年は資格を行使せず、予選会を受験している。初日は首位と7打差の3オーバー「75」で25位タイ。「練習ラウンドでグリーンが速くて、昨日の雨で遅くなっていることにアジャストできなかった」と納得のいくゴルフではなかったが、残り2日で巻き返しを誓った。
1998年にツアー初優勝を遂げた後は順調に勝利を重ねるも、2006年の「三菱ダイヤモンドカップ」を最後に栄冠から遠ざかった。42歳となった14年には賞金シード権を喪失。現在は、主催者推薦でレギュラーツアーにスポットで参戦しており、国内男子の下部にあたるAbemaTVツアーにも出場している。
横尾にとってシニアツアーは待ち望んでいた面もある。「レギュラーツアーは(若い選手と)飛距離が違い過ぎて、違う競技になっちゃっている。みんな飛ぶし、僕らがやっていた頃のゴルフとは違う」とレギュラーツアーでの優勝、シード復帰は半ばあきらめモード。「飛ばなくても300ヤードは必要な時代。宮本とか晋呉はすごいと思う。大したもの。尊敬しますよ」と、今季も賞金シード選手として出場する同期二人を称えた。
若手の飛距離が伸びていることは年々肌で感じているが、昨年のAbemaTVツアー「LANDIC CHALLENGE 8 2021」で19歳の久常涼と3日間同組で顕著になった。久常は昨年プロデビューしたばかりだが、平均で300ヤードを超える飛距離が武器。昨年のAbemaTVで年間3勝を挙げてレギュラーツアーの出場権を手にすると、10月からのわずか7試合で今季のシード権も手にした逸材である。その久常に「毎ホール50〜70ヤード離されていた」。
ただ、飛距離の差は見せつけられたが、3日間終わってみれば久常は6アンダー(6位タイ)、横尾は4アンダー(11位タイ)で「スコアはあんまり変わらなかった」と手応えを感じた部分もある。「いかにユーティリティとかでチャンスにつけて、あとは自分の持ち味、グリーン回りとパットを生かすかが大切ですよね」。
シード権を落とした14年頃は、周囲との飛距離の差を感じて「僕も飛ばそうとしてリキみがすごかった。ボールをコントロールしていないんだから、そりゃどっかに行っちゃうよ。どちらかというと、コントロールしてゴルフをやってきたタイプだから」。当時は横尾自身も飛ばそうとしてショットが乱れていた。今は考え方が変わったことで「ここ2年はいいゴルフができています。Abemaに出ても予選通っているし」と、横尾らしいゴルフを取り戻している。シニアデビューに向けて残り2日で真価を発揮する。(文・小高拓)
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