<アーノルド・パーマー招待 最終日◇6日◇ベイヒルC&L(米フロリダ州)◇7466ヤード・パー72>
最大風速12メートルという強風に見舞われた最終日。その平均スコアは75.481と、4日間でワーストを記録した。優勝したスコッティ・シェフラー(米国)のスコアでさえトータル5アンダー。「全米オープン並みの厳しさだった」と戦い終えた後は、疲労感を漂わせた。
最終日にアンダーパーをマークしたのは、77人中わずか4人だけ。ルーカス・ハーバート(オーストラリア)の「68」がベストスコアだ。続いてティレル・ハットン(英国)の「69」。松山英樹が「70」、そしてサム・バーンズ(米国)が「71」をマークした。ワーストスコアが「87」というのを見ても、その厳しさは伝わってくる。
もとよりベイヒルG&Lはツアーの中でも「コンクリートのグリーン」と呼ばれる、硬いグリーンで知られている。そして今年は2日目にその姿を突然現した。「グリーンのコンディションが1日でここまで変わるのはびっくりした」と松山も驚きの声。見た目も真っ白になったグリーンは、「昨日までは硬くても止まるかなって思ったけど、今日はもう15番なんかはノーチャンス」と嘆いたほどだ。
2日目、3日目も平均スコアは「74」を超えたが、最終日はさらに厳しくなった。早朝から強風が吹き、30度近くまで気温が上昇すると、もともと乾いて硬いグリーンに拍車がかかった。さらに時折突風、「ガスト」と呼ばれる上空で舞う風に翻弄された。
「まるでパンチドランクだ」とボコボコにされて嘆いたのはローリー・マキロイ(北アイルランド)。2018年大会覇者は初日に「65」をマークして首位発進を決めた。しかし2日目に「72」で後退すると、週末は2日連続の「76」。最終的に13位で終えたが、「いいショットがまるでいい結果にならない。ここ3年まるで同じ。いいスタートを切っても続かない。週末で8オーバーだったけど、それよりもずっといいプレーをしたはずだ。今週のことは忘れるしかない」と悔しさを滲ませるほかなかった。
その一方で、20年大会覇者のハットンは「69」をマーク。「昨日は9打も多く『78』も打った」と3日目にはグリーンに苦戦。「昨日は本当に疲れ果てたんだ」と振り返る。
最終日は朝の練習場でティショットを大きく左に曲げ、9番フェアウェイに打ち込んだ。「あのショットは恥ずかしくて…自分でもショックだった。だからきょうはなにも期待しないでスタートした。それがよかった」と逆にグリーン上が冴えた。前日の倍の総距離120フィート(約36メートル)のパットを沈めて好スコアにつなげた。
「この試合に勝てるのは本当に幸運なこと。2年前も本当にタフなコンディションだったが今年はそれ以上だった」と勝利には一打及ばなかったが「69」というスコアに胸を張った。(文・武川玲子=米国在住)
<ゴルフ情報ALBA.Net>