<バルスパー選手権 2日目◇18日◇イニスブルックリゾート&GC(フロリダ州)◇7340ヤード・パー71>
フェアウェイを外したのはたった1回。グリーンに乗せられなかったのは2度だけ。冴えたショットにパットを次々に決めたマシュー・ネスミス(米国)は1イーグル・8バーディでボギーなし。コースレコードで自身のキャリアハイとなる「61」をマークすると、2位のアダム・ハドウィン(カナダ)に2打リードのトータル14アンダー・単独トップに立った。
10番からスタートしたネスミスは、11番パー5で2オンさせてバーディ先行。14番パー5は残り270ヤードから2.5メートルにつけてイーグル、15番パー3も6メートルを沈めて前半は「33」で折り返した。
圧巻は後半のフロントナイン。1番パー5は7メートルを2パットで沈めてバーディ、3番パー4は181ヤードから60センチにつけるショットを披露して1つ伸ばすと、4番パー3は12メートルを沈め、6番は4メートル、7番パー4も114ヤードを30センチにつけると、8番パー4は4メートルを決めた。
最終9番パー4も5メートルのバーディチャンス。「60」がかかったパットに緊張感が走った。しかし、アドレスに入ったところで観客スタンドからアイスバケットがひっくり返る騒音。仕切り直したが、打ち切れずにバーディパットは入らなかった。
それでもネスミスの表情は明るい。「新しいメンタルアプローチで臨んでいるんだ。リラックスして、何も心配しない。必死で頑張りすぎることをやめたんだ」。各ホールのスコアもカードに書き込むことをやめた。そうすることで気持ちの切り離しができるのだという。
28歳のネスミスはサウスカロライナ州ノースオーガスタの出身。サウスカロライナ大学で活躍後、2016年にプロ転向した。同年はPGAツアーカナダのマッケンジーツアーに参戦したが、9大会に出場し予選通過は2度だけだった。
19年に下部のコーンフェリー・ツアーに参戦。1勝を挙げてファイナルス25のトップに輝くと19-20シーズンからついにPGAツアーに。トップ10は1度だけだったが、ツアールーキーながらプレーオフに進むと、フェデックスカップポイント100位で翌シーズンの出場権をキープした。
初のトップで週末を迎えるネスミスだが気負いはない。「ずっとチームと一緒に自分のゴルフを探していた。ようやく今はリラックスしてプレーができるようになった。これまでだって決して悪いプレーじゃなかった。だけど、今は自分のゲームが良い方向に向かっていると確信している。何が起こっても受け入れること。とても楽しみだ」と穏やかに話した。(文・武川玲子=米国在住)
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