<関西オープン 初日◇14日◇よみうりカントリークラブ(兵庫県)◇7180ヤード・パー71>
初日に硬く仕上げるはずだったグリーンは、未明からの雨により、スタート前には軟らかくなっていた。当初は毎日アンダーパーを出せば上位にいくという予想があったが、ふたを開けてみれば初日は、トップの8アンダーを筆頭にアンダーパーが何と83人もいた。
面白いのは、選手によって少し軟らかくなったグリーンへの対応が異なったことだ。7アンダーをマークし、2位タイでフィニッシュしたのは幡地隆寛。昨シーズンのドライビングディスタンスでは、平均313ヤードで1位に輝いた飛ばし屋だが、フェアウェイキープ率が47.57%で96位と方向性にはやや不安を抱えていた。そのため、これまではフェアウェイが狭いホールでは予選落ちが多かったという。
「ボールをフェアウェイに置きたいと思ううちに、ダウンスイングで上体が突っ込み、スイングが崩れていたんです」というのがその理由だ。そこで今回は、“こういう球を打ちたい!”ではなく、“こういう球を打つスイング”だけを意識してアドレスに入ったら、ボールの曲がりを抑えられました」と幡地は話す。その結果、たとえラフでもホール内にボールを残すことに成功。パー3を除いた14ホール中半分のホールでドライバーを振り切った。
2打目を短いクラブで打てれば、ラフからでも止められる軟らかいグリーン。初日のフェアウェイキープ率は50%だったが、パーオン率は88.89%で4位タイとなり、バーディチャンスが増えた結果、スコアも伸びていった。
その幡地とは反対のマネジメントをしたのが、石川遼だ。
「左右にOBがあるとはいえ、むちゃくちゃ狭いわけではないし、ドライバーを持てる選手もいたと思います。ボールが曲がらなければアドバンテージを得るのは明らかですが、それは結果論でもあります。長い目で見て、自分はフェアウェイにボールを置くことがテーマなのでそれを貫きました」
幡地とは対照的にドライバーを握ったのは2、3回しかなかったという。ただ、同組で回る19歳の久常涼が気持ちよくドライバーを振り回す姿を見て、自分もドライバーで攻めたいと思ったことは何度もあったとのこと。
「フェアウェイにさえボールがあれば、グリーンが軟らかくなった分、転がりが少ないので5番や6番アイアンでも狙えますからね」と石川が言うように、練習日は着弾してから20ヤード転がったグリーンが、10ヤードしか転がらないのであれば、ピンが手前に切ってあっても長いクラブで打てる。石川なりの考えが合ってのマネジメントだったのだ。
結果的に3アンダー・32位タイで初日を終えたが、フェアウェイキープ率は78.57%で6位タイだった。一定の成果は上げたがパーオン率では幡地を下回る72.22%で57位タイ。数字上だけで考えると、バーディチャンスの回数は幡地より3回少なかったことになる。
どちらにしろ、4日間トータルでの勝負となるだけに、コースコンディションによって選手たちのマネジメントがどう変わり、その結果、上位に誰が来るのか注目したい。(文・山西英希)
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