<ISPS HANDA 欧州・日本、とりあえず今年は日本トーナメント! 初日◇21日◇PGM石岡ゴルフクラブ(茨城県)◇7071ヤード・パー71>
24歳の古川雄大(ゆうき)が5連続を含む9バーディ・ボギーなしの大爆発で、バーディ合戦となった初日に9アンダー・単独首位発進を決めた。この日の9アンダーは古川のベストスコア。25パットも自己ベストという会心のゴルフだった。
ルーキーとして迎えた昨シーズンは、「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ Shishido Hills」で2位に入るなど活躍。賞金ランキング30位で初シードを獲得した。しかし、古川にとっては「パッティングさえ良ければ、優勝争いの回数を増やせる自信があった」とパットに課題を抱えたシーズンだった。
古川のいうように、昨シーズンのパーオン率は68.29%で22位だったのに対し、そのパーオンホールでの平均パットは1.7948で66位にとどまった。「読んでいるラインと、立ったときのラインが違うんじゃないかと思って、結局、中途半端なパッティングをしてしまう。打てなかったり、思ったところに出球が出せないのがずっと悩みです」と、今年も2試合を終えて突破口を見い出せないまま今大会を迎えていた。
それが一夜にして好パットの連続。『25』につながったきっかけは、女子プロの大里桃子だった。「大里桃子ちゃんもパットに悩んでいてクロウグリップだったり、クロスハンドだったり、自分のイメージが出るものをその場で臨機応変に対応する。それがアリなんだと思って、そこからヒントをもらいました」と古川。
そして、きのうのパッティンググリーンで試し、きょうのラウンドから実践。「バーディパットをクロスハンドで打ったり、返しのパットを順手で打ったり、ホールごとにイメージが出るものをその場その場でチョイスして、それがハマってくれました」とニッコリ。「下りはクロスハンド。ロングパットは距離感が出る順手」と使い分けた。大里も順手、クロスハンド、クロウグリップ、逆クロウグリップを使い分けるパッティングスタイルにしてから、昨年の「ほけんの窓口レディース」で優勝を飾っている。
ちなみに古川は大学が東海大学熊本キャンパスで、大里は熊本出身。「オフシーズンは(熊本で)一緒にラウンド」する仲だという。
今まで思い通りの出球が出せなかったのが、「クロスハンドにしたことで、球のつかまりとか、肩のラインがちょっと変わるので悪いイメージが消せる」と大里桃子流カメレオングリップがバーディラッシュにつながった。
さらに、いま使っているパターはツアー支給品ではなく、古川自身がショップで買って今季から使っているものだという。「初代ホワイトホットのブレード型が欲しくて、いろんな中古ショップを回りました。でもきれいなものがなかなかなくて…。これはホワイトホットと同じやわらかい打感だったので、勢いで買いました」というパターは、オデッセイ『DFX』の復刻版。お値段は「新品で1万5000円でした」という。ショップで買った後、ツアーバスでグリップを入れ直して使っている。
ホワイトホットといえば、最新版の『ホワイトホットOG』があるが、それではダメだったのだろうか。「OGはブレード型だとインサートの部分が狭いんですよ。スイートスポットが狭くなっている気がして、広いインサートのパターを探していた。それがあれだったんです」というのが古川なりの理由だ。
今季の目標については「課題のパッティングのレベルを上げていって、どこかで必ず優勝したいなと思っています。まずは1勝。その先のことはそのときに考えようかなと思っています」と語る。古川は開幕戦で110万を稼いでいて、すでにパターの“元”は回収済み。1万5000円のパターで、これからどこまで稼ぐのか注目したい。(文・下村耕平)
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