<ノジマチャンピオンカップ箱根 シニアプロゴルフトーナメント 最終日◇22日◇箱根カントリー倶楽部(神奈川県)◇7036ヤード・パー72>
首位と1打差の2位タイから出たシニア2年目の兼本貴司が、1イーグル・4バーディ・1
ボギーの「67」をマーク。トータル12アンダーで並んだ清水洋一とのプレーオフを制してシニア初優勝を遂げた。「こんなに早く優勝できると思っていませんでした。55歳までに1勝できればいいと思っていたので」と男泣きをこらえて白い歯を見せた。
シニアデビューとなった昨年、「相当悩んでいた」とショットが絶不調。賞金ランキング62位で賞金シードは逃した。数年前からシャローイングを取り入れたことで、プッシュアウトやチーピンが止まらなくなった。「ドライバーだけでなく、アイアンもダメ。8番でフェードを打ったと思ったら、9番アイアンは引っかけたり。バラバラでした。全部ピッチングで打ちたかったぐらいです」。
中嶋常幸のアドバイスでスイング修正に着手。「ダウンスイングで腰がスライドしすぎていたので、下半身リードしながら、しっかり回すことを意識した」といったことに取り組んだ。「アイアンはできるようになってきたけど、ドライバーはまだ不安」としながらも、今季の出場権をかけた最終予選会では13位に入って出場権を獲得。気持ち的にも楽になってシーズン開幕を迎えた。「開幕戦ではスイングがだいぶ改善されていて、少しはいいのかなというのがあった。それがつながりました」と最終予選と開幕戦で手応えを得ていた。
「諸先輩方にたくさんアドバイスをいただきました。『シニアにはシニアの戦い方がある』と」
抜群の飛距離を持ち、レギュラーツアーでは2勝を挙げている。しかし、シニアではレギュラーと違う考え方を持たなければならなかった。「(過剰な)バックスピンは入らない。飛距離はいらない。フェアウェイに運んで、100ヤード以内でいかに寄せワンを拾うかが大切と教わりました」。レギュラーツアーは若手の台頭もあり、パワーゲームの様相を呈しているが、シニアツアーはコースセッティングがそこまでシビアではないため、精度の方が重視される。
「バックスピン量を減らす技術はないので、奥から戻します(笑)」とスピン量を減らすことはできていないが、狭いホールでは2番アイアンを使用してフェアウェイキープを心掛けている。キャディバッグには46度、50度、56度、60度の4本のウェッジをイン。100ヤード以内の精度はクラブで補っている。「56度はフルショットで115ヤード。ライン出しをしたらちょうど100ヤードです。60度は110ヤード飛ぶので、奥から戻すときに最適です。アプローチも60度は難しいので、56度で易しく寄せられます」とシニア仕様のセッティングも奏功した。
「優勝したばっかりで今後の目標はまだないのが本音です」と、自身でも早いと感じるシニア初優勝。51歳になっても平均飛距離290ヤードを超す兼本。“シニアの戦い方”に持ち前のパワーが加われば、賞金王争いも夢ではなさそうだ。(文・小高拓)
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