<パロス・ベルデス選手権 3日目◇30日◇パロス・ベルデスGC(米カリフォルニア州)◇6258ヤード・パー71>
大会発表の公式ヤーデージは6258ヤードだが、3日目は『5909』ヤード。一般営業の白ティやいわゆるレギュラーティでもめったにお目にかかれない数字が、世界最高峰の米ツアーで実現(?)した。
近年は女子ツアーでも6500ヤード超えは当たり前。道具の進化とともに年々総距離は長くなる一方だが、新規大会の今週は1924年から営業する古いコースで、元々の距離が短い。丘の上にたたずみ、太平洋からの海風が選手を悩ませる上に、アップダウンが強烈なコースでは、ヤーデージは必ずしも好スコアに結びつかない。
ムービングデーにスコアを動かすために、パー4のホールで1オン可能な距離に設定したり、2オンがしやすいパー5を増やすといったことはよくあることだが、その結果として、総距離が5000ヤード台になることは、近年はない。ツアーに確認してもハッキリとした答えはないが、極めて珍しいことは間違いない。
初日は6144ヤード、2日目は6157ヤードに設定されたが、平均スコアはそれぞれ「71.426」と「73.048」。そして3日目は「71.112」だった。2日目は特に風が強くこの数字に収まったが、それにしても3日目の5000ヤード台でオーバーパー(本大会はパー71)というのは実に興味深い。
この日もっとも顕著にティが前に出されたのは5番パー4。266ヤードと飛ぶ選手なら3番ウッドでも届きそうな距離だ。アゲンストの風が吹くホールとはいえ、この日の平均スコアは「3.778」。前日の384ヤード、「4.284」を大きく下回った。
「あすはどんなセッティングになるのか楽しみ」と2位のリディア・コ(ニュージーランド)。国内ではあまり見られないコースセッティング。エキサイティングな展開と、選手の攻める気持ちをかき立てるツアーの戦略が絡み合う。日本ではいまだに『簡単に好スコアが出てしまうと威厳が…』などというコースがあるなかで、思い切ったセッティングにトライする大会が増えても面白いかもしれない。(文・高桑均)
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