<アジアパシフィックオープンゴルフ ダイヤモンドカップ 3日目◇143日◇大洗ゴルフ倶楽部 (茨城県)◇7163ヤード・パー70>
1つ前の選手会長・時松隆光が首位タイに浮上した。3日目の4番パー3でホールインワンを達成。17番でダブルボギーを喫し、単独とはいかなかったがトップの位置で最終日に突入する。優勝となれば4年前の「関西オープン」以来。久しぶりの美酒に酔いしれることはできるのか。
多いときで1日2、3時間もの時間をリモート会議に費やしていたコロナ禍。2020年に選手会長になった途端にコロナが蔓延。自身の練習はおろか、ツアー開催の可否に奔走し、神経をすり減らした。そんな2年間の激務を終えて、今季は表情にも笑みがこぼれる。
「肩の荷が下りた」と本音を明かす。未曾有の事態に気苦労は絶えなかった。だからこそ、いま試合ができる喜びは大きい。4年間未勝利だが、「いまは自分のやりたいゴルフに近づいている」。単独首位で迎えた終盤にダブルボギーを叩いたのは誤算だが、「ホールインワンで浮かれていた。詰めが甘い」と反省。最終日は最後まで気を抜かずにプレーする構えだ。
ホールインワンの瞬間は見えなかった。「いい感じではあった」と満足しティを拾いにしゃがんだら大歓声が聞こえた。「気持ちよかったですね、今年一ですね(笑)」。ティからグリーンまで歩きながら、手を高々とあげて歓声に応える。グリーンに上がってからもずっと手をあげたまま。カップからボールを拾い上げてからもずっとだ。
時間にして10分近く、時松は手を上げ続けた。詰めかけたファンへの感謝、試合を開催してくれる主催者への感謝、スポンサーへの感謝。コロナだからこそ身にしみて感じた大会開催の大変さ、ファンのありがたみ。昨年秋頃から時松はこの手を高々と突き上げる感謝のポーズを忘れない。
「優勝争いに絡めたらいいですけど、自分のやりたいゴルフに近づけたらそれでいい」。2年間の会長職を経て少しだけ鈍った感覚はいいわけにはしない。言葉の裏には優勝をにらむ強い思いもあるはずだ。前会長の逆襲はここから始まる。(文・高桑均)
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