女子ゴルフの最高峰「全米女子オープン」が米ノースカロライナ州サザンパインズのパインニードルズ・ロッジ&GCで6月2日(木)にいよいよ開幕する。
同コースでの開催は2007年以来4度目。大会史上の最多開催となる。1996年大会はアニカ・ソレンスタム(スウェーデン)、2001年はカリー・ウェブ(オーストラリア)、そして前回はクリスティ・カー(米国)と偉大なチャンピオンを生み出している。
パインニードルズの歴史は古く、名匠ドナルド・ロス氏が1927年に設計し、開場した。ロス氏のマスターピース(傑作)、パインハースト・No2とはわずか10分の場所に位置し、同氏のお気に入りの土地だった。ロス設計の最大の特徴は“シルクハット”と呼ばれるグリーン。砲台で裾野のように傾斜し、ボールがこぼれ落ちてしまうことで知られ、グリーンやグリーン周りの形状など多くの共通点が見られる。
だが、このロス氏のデザインは2017年、カイル・フランツ氏によって大改造が施された。
「最大の改造はグリーンの芝がバミューダグラスにすべて張り替えられたこと」と同コースの代表、ケリー・ミラー氏は話す。
「前回大会よりもバミューダ芝のグリーンでずっと硬くなる。さらに、改造でグリーン上にはアンジュレーションが増えた」と言う。その一方でラフは昨年、笹生優花が制したオリンピッククラブのような深さはないが、「見た目にはラフはないように見えるが、ワイヤーグラスが加えられたから、場所によってはとても難しいライになる」。ワイヤーグラスとはまさに針金のように伸びる草のこと。つかまるとラフよりもやっかいになる。
そして驚くことに、全長は6638ヤード。同じパー71で行われた2007年大会では6664ヤードだったから、わずかながら距離が短くなったことになる。この15年の間にはゴルフクラブ、ボールの進化で女子選手の飛距離も伸びているから、単純に考えればコースも長くなりそうなものだが…。
その理由も「グリーンの改造によるもの」と同コースを管理するデービット・フルーシェ氏。「コースでもっともチャレンジになるのはグリーンを狙うショット。前回大会のベント芝よりも、このバミューダ芝のグリーンはずっと硬くなる。正しいアングルからグリーンを狙って止めることが鍵になる」と話す。距離が短くなったとはいえ、より戦略性が増したパインニードルズ。多くのトッププレーヤーを苦しめることになりそうだ。(文・武川玲子=米国在住)
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