現地時間30日に初日を迎えるLIVゴルフ第2戦(米国オレゴン州・ポートランド)を前に、PGAツアーからの“電撃移籍”を果たすブライソン・デシャンボー(米国)が、同じくLIVデビューするマシュー・ウルフ(米国)、エイブラハム・アンサー(メキシコ)とともに会見に臨んだ。そこではこの移籍の理由などが語られた。
米ツアー通算8勝を誇り、2020年には「全米オープン」も制しているデシャンボーは、現在28歳。今年はケガによる離脱もあったが、ほんの少し前まで世界ランクトップ10常連で、選手として脂が乗っている時期の決断は大きな驚きを持って伝えられた。「ここに来ることができてうれしい」。まずはこう挨拶をした後、「革新的」という言葉を繰り返しながら、参戦の意味を話す。
まずこの新リーグでは、個人戦に加え、4人1組のチームでの団体戦もあるが、それへの興味が強い。「ライダーカップやプレジデンツカップに参加し、今回キャプテンとしてチームを率いる機会を得たことは非常に魅力的。ユニークで、他とは違うことこそ、僕がいつも関心を寄せているもの。革新的。これこそ僕が参加したいと考えた理由だ」。“科学者”の異名をもち、常にストイックにプレーの進化を求めてきた男らしい言葉だった。
今回は、チームキャプテンとしてショーン・ノリス、ジャスティン・ハーディング(ともに南アフリカ)、ピーター・ユーライン(米国)のチームを率いる。「戦略的な決断をしなければならない。誰をどのポジションにして、コースをどう進むべきか。コーチやマネージャー候補を立て、それらがどのようにパズルとしてはまるか。これを考えるだけでも、僕の人生が変化したように感じる。このユニークな機会を、パズルのように組み立てたいね」。その頭のなかでは、これまでとは異なる思考回路が働いている。
また、こんな理由も。「個人的なビジネス上の決断が一つ。ゴルフをビジネスとして運営し、世界でよりよいプレーヤーの1人になりたい。次に、地元ダラスや故郷のカリフォルニアに再投資するための資源、そして機会を増やすこと」。こう話す姿は、まるでやり手ビジネスマンのよう。
今イメージしているのは、ジュニアゴルフツアーの機会創出、ダラスにまもなく建設予定のマルチスポーツ施設の建設など。これをしっかりと休養を取りながら進めていけることも大きな魅力に感じているという。連戦が基本となるPGAツアーでは、“選手として”の動きが優先されることになる。プロゴルファーにして実業家。「僕はその両方だと思う」と本人もそれを肯定する。そしてそこに「(ツアー開幕戦の)ロンドンを見たとき、みんなとても楽しんでいた。それが刺激的だったんだ。僕もその一部になりたい」という理由もつけ加えられた。
歯に衣着せぬ発言で過去にも物議をかもしてきただけあって、この日も自分の考えをオブラートに包まず明かす。「PGAツアーの会員資格を返上したわけではないし、そこでもプレーしたい。できるか、できないかは僕が決めることではないけど、プレーする機会を増やしたい」。現時点でもPGAツアーは、LIV参加者を“追放”する立場を強調し、賞金増額など対抗策を打ち出しているが、その未来が変わることも願いながら新天地で戦う。
「個人でありながら、チームの優勝という同じ目標のために、お互いに成長し、協力し合う。そんな仕事がしたい。そして彼らのやりたいようにやらせてあげたい。それをライダーカップやプレジデンツカップで学んだ。タイガー(・ウッズ)が、自分たちがプレーしやすくなるように素晴らしい仕事をしてくれたように」。ゴルフの求道者は、この新しく開いた道を恐れずに突き進んでいくようだ。
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