<資生堂レディスオープン 最終日◇3日◇戸塚カントリー倶楽部(神奈川県)◇6570ヤード・パー72>
トーナメントレコードとなるトータル14アンダーでツアー通算3勝目を挙げた青木瀬令奈が、今大会でことあるごとに発していたフレーズがある。「本番が良ければいいので」。プロセスではなく、結果が大事とハッキリ口にしていたのだ。
練習日と試合でパターを替えていると話した時もそう。「新鮮味を出したい。ずっと使って慣れが出てしまうと、“何か違う”と思ったときに気持ち悪さでズルズル行く」。ときにはヘッドを替え、シャフトの長さを替え、求めるものによって違うものを使うが、「結局は入ってくれればいいんですよね」とまとめる。
大会3日目。予選ラウンドでティショットの調子が悪く、フェアウェイキープ率を上げるためにティの高さを2センチ下げたときもそうだった。「とにかく曲げたくない。たとえ飛距離は落ちても、いいところから打つことが大事」として功を奏したが、「結局、本番が良くないと意味がないんですよね」と、ここでも“結果”を強調した。
こうした結果を求める志向となったのは、毎晩「ゴルフと向き合う時間を作る」ことを目的とした“ざんげノート”をつけ始めてからだ。勝つためには何をすればいいのか。勝てないのは何故なのか。その結果、行きついたのだ。
「練習場や練習日にどれだけ悪い球を打とうが、(そこであわてずに)試合の一発に懸けた方がいい。気持ち的な部分も含めてですけど、ざんげノートを書いていてそういう結論に達したというか、私のスタイルはこういう感じだなという見解に達しました」
だから、首位で迎えた最終日の朝の練習もサラリとしたものだった。キャディ兼コーチの大西翔太氏から次々にクラブを受け取り、打ち続けるその姿は流れ作業のようだった。もちろん、「トップで少し間を作る」などといった注意点はあるのだが、気にもとめていないかのよう。球数だって渡されたカゴにボールが余るほどしか打たない。それも結果を求めるがゆえ。
「実際に練習場で調子がいいと本番で悪いこともあったりするので、練習場で悪いものを出して、気を付けるポイントだけを持ってコースに出た方がいい。本番での一打のために、コースでやらないことを練習場でやったりしますね。あとは動作の確認だったり、ちょっと緊張している部分の確認とか、体をちょっと動かすっていうことだけをやっていました」
すべての動き、練習が勝利へと直結していなければ意味がないのだ。練習のための練習はいらないし、それでは疲労をためるだけ。練習場で自己満足に浸ることも時間の無駄だと言わんばかり。
そういった思考にたどり着けたのも、毎晩勝利のことだけを考えて“ざんげ”した結果だろう。手段と結果。混同しがちな二つを徹底的に見直して、試行錯誤を重ねた結果が3勝目へとつながった。(文・秋田義和)
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