1週間のオープンウィークが明け、国内女子ツアーはいよいよ後半戦へ。今週は北の大地で「大東建託・いい部屋ネットレディス」が行われる。後半戦最初の戦いを制するのは誰なのか。青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める大西翔太氏が展望を語る。
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■求められるミート力
舞台となるのは北海道の滝のカントリークラブ。昨年に続き2度目の会場は、北海道らしくなくアップダウンもしっかりあるコースだ。大西氏は特徴としてグリーンの目の強さを挙げる。「ツアーでも1、2を争うほど目が強く、芯にヒットさせていなければまず入りません。パッティングのミート率が非常に重要です」。
もちろん、北海道らしい洋芝も要警戒。「ラフはそこまで長くないのですが、やはりねちっこくてチャンスにはつけていきづらい。しっかりとフェアウェイに置くことが大事。ショットもパットもミート率がいい選手が上にくるでしょう」と見ている。
■夏休みの宿題、お済みですか?
また、今大会は開幕戦を除けば唯一のオープンウィーク明け。世間より少し早めの“夏休み”にどう過ごしたかも重要だ。
「もちろん、このタイミングで休む選手も多いですが、休んだだけではダメ。前半戦に出た課題をいかに修正できるか。一週間しかありませんから大幅な改造はできませんが、それでも微調整はすごく大事。自分のゴルフと向き合って何が足りなかったか、何を伸ばしたほうがいいのか。この“宿題”をやってきたかどうかで大きく分かれると思います。もちろん、宿題以上のことをやってきている人が、ここから上がっていくのは間違いありません」
■前半戦苦しんだ3人が仕上げてきた!
そんな先生のような視点で見ていたときに、「オーっと思いましたね」と感じたのが原英莉花だという。「練習を見ていて、すごく振り感が出ているように感じました。この一週間で仕上げてきたなと思います。まさしくミート率が上がりました。きれいなスイングプレーンになって、しっかりとボールにコンタクトができているように思いました」と宿題に満点をつける。
「4日間は強いですし、一度ゾーンに入れば原英莉花ワールドになるほどポテンシャルは高い。ノッたときは手を付けられないタイプ。得意の4日間大会のここから一気にギアを上げていってほしいですね」と期待を寄せる。
もう一人が、こちらも前半戦勝ち星のなかった勝みなみ。こちらも良く見えたという。「勝さんはパッティングのミート率が上がったように見えましたね。パターの名手ですが前半戦はどこかバラバラだったところもあった。そこを修正して仕上げてきたなと思えます」。こんなアドバンテージも。「原さんにも言えることですが、今週は雨の影響もあってフェアウェイがやわらかめ。ランが出づらいです。そうなればキャリーで飛ばせる勝さんには大きな分があると言えます」と空中戦の強さも武器となりそうだ。
最後に挙がったのがディフェンディングチャンピオンの申ジエ(韓国)。日本本格参戦の2014年から8年連続で年間複数回優勝が続いているがここまで未勝利。「狙った大会でしっかりと上位に行けるジエさんですが、今週はターゲットとしているなと感じました。ドライビングレンジの隅のほうで“近づかないで”という雰囲気を出しながら黙々と練習していました。こういうときのジエさんは強い。描いたプラン通りにプレーできる選手。ここを勝って、ニトリ、選手権と狙っているのではないでしょうか」と連覇の可能性もあるとした。
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。
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