兵庫戦からUターン。国内女子ツアーの舞台は再び北海道に戻り「北海道meijiカップ」が行われる。メルセデスランキング上位者は海外メジャー「AIG女子オープン」に出場しているため今大会は欠場しているが、いつもとは一味異なるフィールドで優勝カップを掲げるのは誰なのか。青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める大西翔太氏が展望を語る。
■久々の3日間大会です
6月第3週に千葉県で行われた「ニチレイレディス」以来、6試合ぶりの3日間大会となるこの一戦。4日間大会とまず異なってくるのがペアリング。午前組・午後組と分かれずに全員が「午前組」でティオフを迎え、予選ラウンドは変わらず2日間だが、決勝ラウンドは1日のみ。この変化にアジャストすることがまずポイントになると大西氏は言う。
「一日の流れが大きく変わります。そして攻め方も変わって、心構えも変わります」。テンポや、ハーフターンでの休憩の取り方、次の日に向けての調整などの生活リズムを含め、改めて3日間大会のペースを掴み直す必要がある。
■コースは決して難しくないが、強敵は…
舞台となる札幌国際カントリークラブ島松コースは「ラフは長すぎず、フェアウェイとグリーンは程良い硬さがあります」というオーソドックスなコース。だが、ここには強敵が。「年間を通して一番風が読みずらく、風が巻きやすいです」。
打つ地点は右からの風でも、ピンフラッグは左からなびいていたり、フォローの風で折り返した次のホールはアゲンストかと思いきや、フォローだったりすることも。一筋縄ではいかない風の読みに「木を見たり、雲を見たり、ピンフラッグを見たり」と様々な情報を集めたうえで、どのようなジャッジを決断するかがカギとなる。
さらにコースにはアップダウンもあるため、「高低差」も計算に入れないといけない。「風と高低差を見極めること。目に見える情報だけではなくて、また違った面から判断するような“五感”を研ぎ澄ませることが重要ですね」。
■感覚派×北海道戦といえば…
理論派よりも感覚派か。そんな戦いの最注目選手に挙げたのが小祝さくら。ザ・地元で行われるホステス大会ということで、「この大会への想いはとても大きいと思います」と地元初優勝への気合も十二分。さらに「感性もバチバチにあります」と明かす。
「おっとりしているように見えますが、一打への執着心は強い。この一打をどれだけよくするか、というのを打つ前にしっかり考えている選手です。その心の熱さで、感覚はより研ぎ澄まされます。細かいところの判断ができるのではないのでしょうか」
そんな小祝を阻むのは、同じ北海道勢と、次に菊地絵理香を挙げた。2週間前の北海道戦「大東建託・いい部屋ネットレディス」で地元初優勝を遂げたことで、「北海道の勝ち方を知りましたし、波に乗っていけるタイプ」と地元連続優勝も期待される。
「菊地さんはパー3のティショットのような、フラットなライからティアップして打つときの攻め方がうまいです。風と高低差でさらに難易度が増すパー3で、そのうまさが存分に見られると思います」
■こちらの道産子ルーキーにも注目!
トップを走る北海道ふたりに加え、今大会では昨年のプロテストに合格したばかりの道産子ルーキー、内田ことこにも注目してほしいと話す。QT26位で始まった今シーズンは、リランキングを22位で突破し、後半戦の出場権を獲得。「Tポイント×ENEOS ゴルフトーナメント」は4位で終えるなど、活躍をみせている。
「全体的なスキルが高いです。さらに高いボールと低いボールを打ち分けることができる選手。このコースは風が強く吹くので、ボールの高さをコントロールできる内田さんは、十分チャンスがあると思いますよ」。
解説・大西翔太(おおにし・しょうた)/1992年6月20日生まれ。名門・水城高校ゴルフ部出身。2015年より青木瀬令奈のキャディ兼コーチを務める。16年にはキャディを務める傍らPGAティーチングプロ会員の資格を取得した。ゴルフをメジャースポーツにと日夜情熱を燃やしている。21年には澁澤莉絵留ともコーチ契約を結んだ。プロゴルファーの大西葵は実の妹。YouTube『大西翔太GOLF TV』も好評で、著書『軽く振ってきれいに飛ばす!! 飛距離アップの正解』が発売中。
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