<シモーネ・アジアパシフィックカップ 最終日◇20日◇ポンドック・インダGC(インドネシア)◇6806ヤード・パー72>
3日間の姉妹初タッグが終わった。渋野日向子はこの日もグリーン上で苦しみ「76」のトータル7オーバー・22位タイ。妹の暉璃子(きりこ)さんは「75」で回り、トータル12オーバー・31位タイだった。チーム戦はトータル19オーバー・15位に終わった。
プロを目指す妹を誘う形で出場した渋野は、「(私は)へなちょこでしたけど、暉璃子はがんばったね。バーディ2つ獲って。目標は3つでしたが。私もチャンスをものにできなかったのはすごい残念ですね」と1バーディに終わったこの日のプレーに不満を残したが、3日間共闘した妹を労った。
プロの試合に初めて出場した暉璃子さんは、「ショットは昨日よりよかったと思います。パターは相変わらず入らなかったけど、最後2オンしかけたので満足です」と白い歯を見せた。535ヤードの18番パー5。左ドッグレッグのホールでグリーンの左手前には池が広がり、グリーン手前にはバンカーが口を開ける。プロでも2オンが難しいホールだ。
暉璃子さんは持ち味の飛距離を生かした。フェアウェイから2オンを狙ったショットは、グリーンをキャッチしたが転がってグリーンオーバー。「あれはよう打った」と姉も称賛の一打。16番パー4では「40ヤード以上置いて行かれた」(日向子)と、フォローの風ではないホールで300ヤードショットを放つなど見せ場を作った。
試合で妹と回ったのは今回が初めて。「めちゃくちゃ新鮮だったし、個人的にはすごい心配なところもあったけど、心配無用でした。やっぱ強心臓過ぎて、本当、欲しいレベル。うらやましい。だって初めてよ! 私が初めて(プロの)試合に出たのは中1で、ステップ・アップ・ツアーに出て『87』よ(笑)」。日向子は緊張や気合いの入りすぎなどからスコアを崩したが、落ち着いていつも通りプレーする妹の姿に羨望(せんぼう)のまなざしを向けた。
「ひなちゃんがいたからそんなに緊張もしなかったんだと思っています。ずっと一緒だったので、本当の(試合の)雰囲気じゃないんだろうなって」と暉璃子さんは姉の存在が大きかったというが、そのポテンシャルの高さは姉の日向子が太鼓判を押す。
「トレーニングとかせんでこれ。練習もたぶん細かいこととかやっていない。バンカーの打ち方とかも自己流。パターもそうだし、全部自分で考えている状態だから、これから勉強していくと私より絶対すごいからね。いろいろ時間があるときに一緒に練習したい。しっかり振れるし、ショットはそのままでいいので」。同じ土俵でプレーをすることで、そのポテンシャルの高さを再確認した。
「今は野生の勘でやっている感じがあるじゃない?」と日向子が聞くと、「ほぼそう」と暉璃子さんはうなずく。今後は学生競技がメインになるが、「岡山の県の大会を勝つとステップに出られたりするので、そういうところに挑戦してもらいたい」(日向子)とプロの試合で経験を積むことを勧めた。
明治大学2年生の暉璃子さんは学業との兼ね合いもあるが、大学4年時、もしくは卒業後にプロテスト受験を目指す。「今回はしっかり爪痕残せたんじゃない? これからが本当に楽しみ」。オフには“合宿計画”も立てているというふたり。姉が帝王学を教授する。(文・小高拓)
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