<日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯 最終日◇11日◇城陽カントリー倶楽部(京都府)◇6555ヤード・パー72>
また一人、女子ゴルフ界に新星が現れた。今春高校を卒業したばかりの川崎春花。昨年11月の最終プロテストに合格したばかりの19歳が、畑岡奈紗に続く2人目となる国内メジャー10代優勝を果たした。“京女”らしくはんなりと、そして鮮やかに勝利を奪ってみせた。
19歳133日での大会史上最年少V。決して楽な道のりではなかった。先月末にステップ・アップ・ツアーで初優勝を遂げたものの、プロ1年目はケガと不調に苦しんでいた。「7月末から8月まではいちばん痛くて」と腰痛に悩み、自身のゴルフスタイルにも疑問を持ち始めたのもその時期。
「思い描いていたゴルフができなくて苦しかった。ステップで優勝する前までは逃げるようなゴルフをしていて、ステップで変えてからよくなりました」と攻める気持ちを持ち始め、腰の状態もよくなり、一気に道が拓けた。
首位と4打差からのスタートとなった最終日。「ぜんぜん優勝とか考えていなくて、とにかく自分ができる精一杯をしようという感じでした」と、前半7ホールでパーを並べる。すると、スコアが動いたのが8番のパー4。「若干ダフりました(笑)」という120ヤードからのピッチングウェッジでのショットがカップ右手前に着弾すると、そのまま転がりカップイン。そして、後半の6バーディに結びつける。
「メンタルは弱いと思っています(笑)」と京都弁でゆったりと話す。そんな弱さなど微塵(みじん)も感じさせない圧巻ゴルフ。「緊張というよりも、目の前の一打に一生懸命で、必死でした」とひたすら最後まで攻め続け、18ホールを駆け抜けた。12番から4連続、そして上がり2ホールでもバーディ。「最後は鳥肌が立ちました」と振り返るが、ホールアウトしても“はんなり”笑顔が変わることはなかった。
初優勝を迎えても何も変わらず、涙もなく淡々とほほ笑み続けた。「悔しいときは泣きますけど」と、今季はステップ惜敗で涙を流したこともあったが、地元・京都でつかんだ勝利の味は、最後まで笑顔で味わいつくした。「応援していただけるようなゴルファーになりたい」。あどけなさの残る表情で、自身の将来像もしっかりと話してくれた。
「信じられないですし、実感も湧いていないです」と優勝直後の優勝会見では話した。いまいちばんしたいことを聞かれると、「母のみそ汁が飲みたいです」。最後まで“はんなり”を通した今年の最強女子プロゴルファー。きっと今夜はおいしいみそ汁を飲んで、優勝を実感することになるのだろう。(文・高桑均)
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