<日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯 最終日◇11日◇城陽カントリー倶楽部(京都府)◇6555ヤード・パー72>
大会史上最年少の19歳、2004年から始まった予選会からの出場で勝利のしたのもはじめて。同一年に下部のステップ・アップ・ツアーとレギュラーツアーを制したのは8年ぶり3人目。記録ラッシュとなった川崎春花の勝利はどのようにして生まれたのか。
昨年11月のプロテストに一発合格し、今春高校を卒業。ルーキーイヤーを戦っている川崎。京都出身で、ふんわりとした見た目はまさしく京女。そんなイメージの川崎は、普段はどうなのか。「何を言ってもスルーされる(笑)」と父の太郎さん。ゴルフのアドバイスを送っても、どうやら聞く耳を持たないらしい。
母の雅子さんから見た娘は、「マイペースだけど、よく気づく」とゴルフ向きの性格だという。笑顔を崩さない川崎の周囲にはゆったりとした時間が流れているが、芯の強さも感じられる。そして周囲を見渡すのが得意だ。
最終日は首位と4打差からのスタートで、後半に入って首位奪還。「首位になったのは分かっていました」と涼しい顔で振り返る。「緊張感はそこまでなかった」とあれよあれよという間に、最後も2連続バーディで締めくくって同期初優勝をメジャーの舞台で果たした。「メンタルは弱い(笑)」と自身は話すが、堂々たるプレーはこのマイペースの性格ゆえかもしれない。
大阪学院大高校時代はゴルフ部で部長を務めた。昨年8月、最後の夏の大会に臨んだ川崎は優勝を逃したが、団体戦2日間で10アンダーをマーク。周囲から「頼りになる先輩」と慕われていた。
そんな高校の2学年後輩の伊藤亜衣さんがキャディを務めた今大会。「厳しいけど優しい先輩」とは伊藤さんの川崎評。挨拶や礼儀を指導されたという。芯の通った“はんなり”な感じが川崎の魅力だ。
高校時代最後の大会で話をしたときに聞いた話。「ゴルフは几帳面ですけど、日常生活はがさつです(笑)」。謙遜も入る京女。魅力が詰まった19歳の新星。メジャーで初優勝、そして数々の記録を打ち立てても、この偉業にピンと来ていない表情もまた、川崎の魅力だった。(文・高桑均)
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