<ポートランドクラシック 最終日◇18日◇コロンビア・エッジウォーターCC(米オレゴン州)◇6467ヤード・パー72>
古江彩佳、渋野日向子らも名乗りを挙げた優勝争いをトータル19アンダーで制したのは、24歳のアンドレア・リー(米国)だった。「信じられない。優勝することが夢だった。とても現実とは思えないわ」。感激の言葉が止まることはない。
最終日最終組、古江と並ぶトップでスタートしたが、序盤は苦しい展開だった。2番、3番で連続ボギーを叩き、一時は後退。しかしそこから4連続と3連続を含む計8つのバーディを奪い、18番グリーン上で歓喜の瞬間を迎えた。
スタンフォード大時代は、世界アマチュアランク1位にも立ち、大学記録に並ぶ8つの個人タイトルを獲得。“スーパー”がつくエリート選手だった。本人も「アマチュア時代はいつも順風満帆だった」と振り返るほど。しかし2020年にプロ転向すると、自分への「期待」がプレッシャーに変わり、苦戦が続いた。特に昨季は予選落ちが目立ち、今シーズンは下部ツアーでも戦うことを余儀なくされた。「このツアーで勝つのは本当に難しいこと」という実感は強まるばかりだった。
しかし今年、下部ツアーで1勝。さらにこの試合までに、前戦の「クローガー・クイーンシティ選手権」5位タイなどトップ10に3度入る活躍で、その才能を発揮しはじめていた。「去年の経験から学び、ゴルファーとして成長し、それを生かしてこの優勝につながった。それを誇りに思う」。当初の予定に比べると少し遠回りもしたが、ここまで「ハードワーク」もこなし、ようやく夢を現実に変えた。
この勝利は、昨年11月に亡くなった祖父に捧げる。「ゴルフがとても好きで、もっと一緒にラウンドもしたかった。お金がかかるスポーツで、ジュニア時代にはたくさん助けてもらいました。両親以外では、私の一番のファンでした」。ここまで抱いてきた祖父への“尊敬の念”が、この大混戦のなかで自分を支える原動力となった。
この日、リーの1組前でラウンドを終えた渋野は、優勝が決まる瞬間を見守り、そして笑顔を浮かべた。その理由について「アンドレアは、一度一緒に回ったことがあるので。今回が初優勝ということで、いいものが見れました」と明かす。最後のパーパットを決めた瞬間、18番グリーンに大歓声が響いた。たくさんの人々から祝福される優勝劇だった。「次の目標はメジャー優勝ね」。エリートアマチュア選手は3年をかけ、ポートランドの地で、ようやくトッププロの仲間入りを果たした。
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