<ヤマハレディースオープン葛城 2日目◇31日◇葛城ゴルフ倶楽部 山名コース(静岡県)◇6480ヤード・パー72>主催者推薦選考会、いわゆるマンデーで落ちた選手が、本選で予選を通過するという珍事が起きた。主人公となったのは藤田光里。36位から出た2日目は2バーディ・1ボギー・1ダブルボギーの「73」とスコアを落としながらも、トータル1オーバーの55位タイとギリギリで予選通過を果たした。
一昨年11月以来、藤田にとって久々のレギュラーツアーでの予選通過は不思議な流れの中で巡ってきた。本戦と同じ葛城GCで行われた27日のマンデーは「73」で3打及ばずに落選。「1日勝負とか短期決戦が苦手で、マンデーに通ることってあんまりないんですよね」。この時点でもう本戦には出らないのが通常のパターンだ。ただし、藤田はマンデーとは別に欠場者が出た場合に代わって出場するウェイティング(待機選手)の4番手でもあった。4人の欠場者が出る可能性は低いと考え、本人はほぼ諦めモードで自宅に戻っていたが、開幕前日29日の午後になって出場が決定。「連絡をもらったときは猫と戯れながら、ステップ・アップ・ツアーの中継を見ていました」。結局、車で3時間かけて、再度現地入りしたのは初日の朝。スタートが最終の午後12時45分と遅かったこともあって、当日移動でも大きな問題はなかった。そんな初日はティショットが絶好調。ドライビングディスタンスは全体5位の249.5ヤードを記録し、フェアウェイキープ率は100%。「先週、昨年のシャフトに戻したんです。今年のヘッドとの組み合わせとかは何も考えずに気分転換で替えたんですけど、プライベートのラウンドで飛んでいたので、試合でもそのまま試しました」。硬さや重さ、キックポイントなどのスペックではなく、ポイントは色。「軽いクラブが好きなので、軽く見える色がいいんです」。何色が軽く見えるのかは本人もはっきりとは分かっていないが、今回はグリーン系から青と白の縞模様への変更。グリップも白からピンクに替えた。2日目は色の効果が薄れたのか、初日ほどティショットが安定しなかったが、終盤の16番パー4で残り146ヤードから20センチにつけるスーパーショット。このバーディが決め手となり、マンデー落ちから、本選で予選通過という滅多にお目にかかれない物語が完成した。急な出場決定でペットホテルの空きが見つからなかったため、第2ラウンド終了後はまた自宅に戻って猫の世話をするとのこと。これだけのドタバタ劇の中で予選通過を果たしたのだから、片道3時間の往復もプレーに悪影響を及ぼすことはなさそう。あとはおよそ1年半ぶりの決勝ラウンドでひとつでも上を目指すだけだ。(文・田中宏治)
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