<日本女子プロ選手権コニカミノルタ杯 初日◇7日◇安比高原ゴルフクラブ(6,640ヤード・パー72)>
昨日のプロアマ戦の棄権に続いて、初日のスタート前に上田桃子が欠場を申し出た。
国内ツアー11勝、米ツアー1勝、国内対象外(新人戦)1勝、2007年には賞金女王を獲得。国内女子ツアーにあって、押しも押されもせぬ存在である上田桃子。だが、上田にはメジャーの冠がまだない。上田が心から戴冠を臨んでいたであろう日本女子プロゴルフ選手権大会コニカミノルタ杯。この試合に照準を合わせ、調子を上げてきていた。だがゴルフの神は、また上田に試練を与えた。
悔しかったに違いない。不本意ながらスタート前に欠場を決意し、上田はコースを後にした。笑顔を作りながらも、その目にはうっすらと涙がにじんでいた。
欠場の理由は、背中痛のため。スタート前に練習場に行き、ボールを打って決断した。「一昨日痛めたんですが、そのときは息ができないくらいでした。昨晩は寝返りがうてるくらいにはなっていましたが、体の捻転ができない状態です。ドライバーで150ヤード打つのが精いっぱい。家に帰って休みたいと思います」と話した上田。帯同する伊藤久トレーナーは、「大事には至らないと思います」と述べつつ、「体の左サイドが張っていました。疲れからだとは思いますが、一昨日の練習のときに左背中がピキッといってしまったんです。束になっている筋肉の筋の数本が炎症を起こしてしまったのでしょう。1週間ほど安静にしていれば、よくなると思います」と上田の状態を説明した。
とはいえ、ゴルフの虫、練習の虫の上田が1週間もクラブを持たないとは思えない。上田のコーチを務める辻村明志も、「練習方法は考えます。例えば調子が悪くなった時に上田がやる練習ですが、頭を壁につけてシャドースイングを行ったり……。これは調子が悪くなると、ボールから離れて立つ傾向があるのでそれを修正するために行っていますが、トレーナーと相談して今の体の状態にあった練習を考えます」と心配する。
毎日のように球を打つプロゴルファーの体には、大きな負担がかかっている。インパクトの瞬間のヘッドにかかる加重は、1トンを超えるといわれている。体に伝わるその衝撃はかなりのものだ。陸上選手として活躍し、強靱な体を作ってからゴルフに転向したツアー通算20勝の塩谷育代に聞いた。「私は40歳を過ぎるころまで体を壊す不安を感じたことはなかったのですが、クラブがパーシモンからメタルに変わったころ、インパクトの衝撃が大きくなったとは思いましたね。今の選手たちの体の負担は相当なものだと思います」。
上田のインパクトの音は、厚く重い。トップで蓄えたエネルギーを左サイドで受け止めて、ヘッドを走らせる。インパクトの負荷は、われわれアマチュアレベルでは想像もつかないかなりのものであろう。それだけに日頃からトレーニングを積み、体幹を鍛えていた。だが、連戦の疲れは怖い。だが今回の欠場の悔しさから、上田は何かをつかむに違いない。さらなる上田の成長を願い、次戦、マンシングウェアレディース東海クラシックに笑顔で登場する上田の姿を期待したい。
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