<ISPSハンダマッチプレー選手権4回戦◇7日◇浜野ゴルフクラブ(7,217ヤード・パー72)>
27ホール目となった1番パー4で2.5メートルのウイニングパットを沈めた瞬間、背中から倒れた片山晋呉。そのまましばらく動かなかったが、動けなかったというほうが正解だったかもしれない。
池田勇太の勝利の女神は土屋太鳳似の21歳
マッチプレーで1日2試合を戦った経験は何度もある。プレーしたホール数では明らかにそちらのほうが上だ。しかし、今回の27ホールは重みがまったく違うという。「一度仕切り直しをして2試合戦うなら、それほど疲れはありません。今日の27ホールは、プレーオフを9ホール戦ったのと同じぐらいの疲れなんですよ。それぐらい精神的にも肉体的にも追い込まれました」。
相手の宋永漢は26歳。今季は優勝こそないが、賞金ランキングは21位とまずまずの位置につけ、実力もある。その宋が全力で1番から片山に挑んできた。18ホールを終えてオールスクエアだったが、スコア的には片山が7アンダー、宋が6アンダーというハイレベルな戦いを繰り広げた。
1番ホールと7番ホールを繰り返すエキストラホールに突入しても、互いにバーディ分けが2ホールもあったほどだ。終わってみれば、27ホールを片山は10アンダー相当で回った計算になる。「どちらが勝ってもおかしくない戦いだったと思います。もしも次のホールまでいっていたら、永漢が勝っていただろうし、歴史に残るような最高のゲームだったのではないでしょうか」。
44歳の片山が18歳下の選手と約6時間の死闘を演じられるのも、ゴルフならではだろう。「最後は、これまで何度もプレーオフを戦ってきた経験がものをいったんでしょう」と片山は分析したが、勝利への執念が永漢を上回っていたのかもしれない。
「明日の相手(塚田陽亮)は14ホールしかプレーしてないの?まあ、負けるなら早めに、長引いたならいい戦いをしたいですね」。ただ一人残った40代のベテランは、疲労困ぱいながらも満足げな表情を浮かべた。
文・山西英希
<ゴルフ情報ALBA.Net>