<日本女子オープンゴルフ選手権競技 最終日◇1日◇我孫子ゴルフ倶楽部(6,706ヤード・パー72)>
記録続出の「日本女子オープン」を締めくくったのは、記録づくめの優勝だった。畑岡奈紗が8バーディ・1ボギーの“65”と、この日のベストスコアでトータル20アンダーまで伸ばして優勝。2位に8打差をつける圧勝だった。
国内では畑岡奈紗が躍動!日本女子オープンを珠玉の写真で振り返ろう!
誰1人影すら踏めなかった。2位と2打差の首位からスタートした畑岡は、出だしの1番パー5で残り20ヤードの3打目を1mにつけてバーディ先行。2番でボギーを叩いたが、その後も着実にスコアを伸ばし、16アンダーまで伸ばしてハーフターンを迎える。
折り返しての11番で10mを沈めて、「今日は良い流れが来てる」とギアチェンジ。さらに2つのバーディを奪って迎えた17番パー5でも、右ラフからの3打目をピン右1mにピタリ。この日8つ目のバーディで、目標としていた20アンダーに到達。18番のバーディパットは惜しくも左に外れたが、大会史上最少スコア、最多アンダーパー記録、公式戦72ホール最少ストロークの3つの記録を更新するトータル20アンダーでカップを掴んだ。
さらにこの勝利で、畑岡奈紗は樋口久子に続く40年ぶり史上2人目の連覇を達成。さらに、大会連覇と2週連続優勝を同時に達成するのは、2013年のアン・ソンジュ(韓国)以来、史上2人目、日本人では初となる大記録だ。さらに付け加えれば、公式戦2勝目達成年齢(18歳261日)もチョン・インジ(韓国)を抜いて更新した。
「朝から緊張していましたが、チャンスを1つ1つものにしていこうと頑張りました。優勝争いは相手が目の前にいる中で自分のプレーをするのが難しいのですが、今日は20アンダーという自分が立てた目標に集中できた」。首位スタートにも守りに入らず、“畑岡奈紗”らしくアグレッシブにピンを攻めた。
今日の勝利で米ツアーへのチャンスはさらに高まった。賞金ランクが17位に浮上し、このまま「富士通レディス」までに35位以内をキープできれば、11月3日(金)〜5日(日)に開催される日米共催試合「TOTOジャパンクラシック」に出場できる。もし、この大会で勝つことができれば、QTを待たずして来季の米国ツアーの出場権を獲得できる。「そこは意識していました。(出場権を得られそうで)嬉しいですね」と話す。
加えて更なる自信も。「あくまでも日本での2試合なので単純比較はできないが、スコアだけで言えばアメリカでも上位で戦えると思う」。2週連続での圧勝劇。それも先週はメジャーを勝ったばかりの李知姫(韓国)を撃破、さらに今週は元世界ランク1位の申ジエ、日本1戦1勝のキム・ヘリム、世界ランク6位のチョン・インジに全米オープン2位のチェ・ヘジンと、世界の強豪たちに大差をつける完勝劇。勝ちっぷりだけを見れば、米国ツアーで戦える実力は十分にあることは明らかだ。
誰もが気になるアメリカへの再挑戦。畑岡は、「これは自分だけの問題ではないので、両親と話し合いたいが」と前置きしたうえで、「米QTを受けようと思ってる」と来年の米ツアー参戦を示唆。「もう一回チャレンジしたい気持ちあります」。「先週はその気持ちが7割と話していましたが」という質問には、「今は9割くらいですね」と力強く答えた。
その中には自信と共に今年の反省を生かしたい、という思いもある。「今年は準備がままならないまま行ってしまいました。来年は経験を活かして、出場権を獲れたら万全の状態で行けるようにしたい」。家を借りずホテル暮らしとなり体を休められなかったこと、試合スケジュールを上手く組めずコンディションを作れなかったこと。今の調子と経験を踏まえれば、今年と同じ轍は踏まないはずだ。
技術的に取り組みたい課題も明確だ。「まだ正直甘い部分はありますね。技術的にはまだショートゲームが足りなかったと感じています。アメリカのほうがよりピンポイントに狙っていかないといけないので、その精度、そして外した時にアプローチ、パターで凌げなかった」。加えてストロングポイントであるショットもまだ物足りない。「もっと飛距離が出るといいですが、それ以上に今の飛距離を保ったまま正確性を高めたいです」。来季の開幕までさらなるレベルアップが必要だと感じている。
畑岡がアメリカに挑戦したい理由の1つは東京五輪。「世界ランクは意識しています。来年のメジャーの出場権、そしてその先にはオリンピックもあります」。アメリカツアーに出たいのもそれが理由。「色んな国籍の人がいて、私と同じくらいの年代の選手が活躍しています。オリンピックを考えても、その選手たちと競り合えるプレーヤーになりたい」。そして一言。「出て金メダルを獲りたい」。この日の記録づくめの優勝は、きっとこの先の新たな記録更新への道へと続いている。
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