<日本プロゴルフシニア選手権大会 住友商事・サミットカップ 2日目◇6日◇サミットゴルフクラブ(6,984ヤード・パー72)>
古山聡、53歳。初めて名前を目にする方が多いだろう。だが、プロゴルファーやツアー会場で働くものにとってはなじみの名前だ。かつてはツアープレーヤーとして戦っていたが、現在は日本ゴルフツアー機構(JGTO)で競技委員を務め、各地を転戦している。その古山が同大会でシニアデビューを飾るとともに、21年ぶりに選手としてツアー競技のティグラウンドに立った。
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初日は111位と大きく出遅れたが、この日は“69”をマーク。3つスコアを伸ばしトータル4オーバー・57位タイで予選を突破した。予選通過をしたのは、95年のレギュラーツアー「アコムインターナショナル」以来、22年ぶりのこと。ホールアウト時点で結果は確定していなかったが、この日の巻き返しに多くのプロや関係者から祝福されていた。
シニアツアーへの挑戦を決めたのは2年前。シャフトメーカーの社員でツアーレップをしている高橋雅也さんが「日本オープン」の予選ラウンドを通過し、本戦でも4日間を戦った姿を見たのがきっかけ。古山自身、2年前にシニアツアーの予選会を受けた。3打及ばず出場権は逃したが、手ごたえを得た。そして、今季は予選会で65位に入り、この試合の出場権を獲得した。
21年ぶりの表舞台は、「とにかく楽しくて」と白い歯を見せた。「パーでもガッツポーズ、フェアウェイにいってもガッツポーズですよ(笑)」とハイテンションなラウンドに。最終ホールはパーで締めくくったが、両手を上げて歓声に応えていた。
今回のために大好きな晩酌をやめ、ランニングやトレーニングで15キロ減量。周囲の人からは病気でもしたかのようなスリム化に成功した。クラブセッティングも工夫している。「片山晋呉をパクりました」とアイアンは7番からで、それより上はすべてウッドとユーティリティで、実に6本入っている。アマチュアも参考になるやさしく扱えるクラブをそろえ、試合に臨んで見事に予選を突破した。
「ここから2日間が問題。走ってはきたけど、ゴルフで使う体力とは違うから」と弱音が口をついたが、顔は満面の笑み。メジャーで4日間戦える喜びに満ちあふれていた。
来週は下部のチャレンジツアーで競技委員、再来週は国内男子ツアーの「ブリヂストンオープン」で競技委員を務めるという。2足のわらじでのツアー参戦は苦労も多いが、この日はギャラリーの前で戦える楽しさを全身で表現していた。「レギュラーの選手たちも、もっと(アクションを)やればいいのにね(笑)」。初出場のシニアで4日間戦える喜び、21年分の思いもこめて明日も全力でプレーする。
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