今季、国内女子ツアーで活躍した注目選手のスイングから強さの要因を探る“Playback LPGATour2017”。第6回は2011年の「全米女子オープン」など米国女子ツアー通算5勝を誇り、今年6月には世界ランキング1位の座についたユ・ソヨン(韓国)をフォーカス。上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏に解説してもらった。
【スイング連続写真】右足の使い方にユ・ソヨンの強さがあった
ユ・ソヨンさんを今年見たとき、昨年よりも体を大きくしてパワフルになったという印象を受けました。スイング的には、バックスイングでは早めに手首のコックを使ってクラブを上げています。特徴的なのは、ダウンスイングです。飛球線後方からの写真を見ると分かりますが、クラブが腰の高さまで下りてきた状態でも、まだクラブヘッドが頭よりも内側にあります。手やヒジに余計な力を入れることなく、トップでつくった形を右脇腹の位置まで崩さないことにより、インサイドからボールを叩ける形をつくっているわけです。そこから一気に解放してボールをとらえていきますが、まさにドローヒッターの打ち方だといえますね。
また、ダウンスイングでの右足にも注目してください。右ヒザの力のベクトルが地面に向かっています。この踏み込み方は最近の主流ですが、インパクトポイントが目標方向に流れないメリットがあります。右足カカトがまったく浮かずに、右ヒザを内側に絞りながら、しっかりと軸足である右足に体重を乗せます。右足体重の時間が長ければ、それだけ軸足の上で体を回転できることなので、正確なインパクトを迎えることが可能です。ショットメーカーならではの特徴だといえるでしょう。
アベレージゴルファーは、ダウンスイングの切り返しで左足に体重を乗せることが体重移動だと思うかもしれませんが、それだと正確なインパクトを迎えにくくなります。右足に体重を乗せている時間を長くした後で、左足に体重を移していくのが理想です。どれだけ右足の上で捻転した上体を捻り戻せるかがポイントになると考えましょう。そのうえで、インパクト間際で右足の蹴りを使います。それがパワーをしっかりとボールに伝えるコツになります。
インパクト後は、クラブヘッドで円を描くというよりも、目標方向に大きく振り出していくイメージです。ドローヒッターなので、アッパーブロー気味にボールをとらえているのでしょう。
アベレージゴルファーにはソヨンさんの右足の粘りは参考になると思います。右足の上でダウンスイングの切り返しを行い、クラブをスッと下ろす。体重移動をしてはいますが、左足に体重を乗せるのは最後の最後のイメージです。
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、藤崎莉歩、小祝さくらなどを指導。上田の出場試合に帯同、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
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