今季国内女子ツアーで活躍した注目選手のスイングから強さの要因を探る“Playback LPGATour2017”。第15回は17歳9か月の若さで世界ランキング1位に君臨したリディア・コ(ニュージーランド)をフォーカス。15歳4か月でのLPGAツアー優勝、18歳4か月でのメジャー制覇など、数々の最年少記録を塗り替えたそのスイングを、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏に解説してもらった。
【連続写真】世界の頂点を獲ったリディアのスイング
17歳で世界ランキング1位となったリディアさんですが、20歳になった現在も同9位につけ、トッププロとして活躍しています。スイングを見ると、まず気になるのがテークバックです。クラブヘッドを低く長く引いていますが、胸の前にヘッドをキープすることで、体の回転と同調しながらクラブを上げています。おそらく、テークバックを重視するタイプで、体との一体感を伴いながら、正しい位置にクラブを上げたい。それができれば、あとはそのままスイングするだけで、自分がイメージしたボールを打てるという意識があるのでしょう。
ダウンスイングで首が少し寝ているのは、ドローヒッターだけに、インサイドからクラブを下ろしたい気持ちがあるからでしょう。全体的にコンパクトなスイングですが、インパクト以降の形に道具をしっかり使おうという意志が表れています。ボールをとらえた後も顔を下に向けておき、強烈な腕のローテーションを行ってから、ようやく体を回して起き上がっています。この動きのメリットは、体の動きすぎや力感を抑えられることです。通常は体に力感が出すぎると、クラブをうまく使えないため、ヘッドが走らなくなります。ヘッドを走らせるためには、いかに自分の動きを抑えて静かにスイングできるか。自分の力感とクラブの動く割合が1:9ぐらいになると、クラブの特性を最大限にいかせます。スイング中、ベタ足にしていることも、フットワークを抑え、できるだけ体を静かに使いたいからでしょう。
リディアさんが力感を抑える理由は、パワフルスインガーではないからです。165センチの身長でもパワーヒッターと互角に戦わなければならず、その方法として身につけたのが、クラブの重さを利用することです。単にドライバーで飛距離を稼ぐだけではなく、アイアンでもクラブの重さで高さを出し、ボールにスピンをかけることで止めています。スイング中に感じる重力はいつも同じであり、その重力をコントロールできるからこそ100ヤード以内のショットもピカイチです。
また、クラブを握る際、グリップエンドから少し離れたところを握っていますが、そこがちょうど扱いやすい長さだと思われます。それならシャフトを切って調節したらいいじゃないかと思う人もいるでしょうが、重さがあるものを短く持つのと、短く切ったものを目一杯に持つのとでは、バランスが異なるのでまったく別物になります。長いクラブを短く持って使うことにこそ、クラブの重さを利用したいというリディアさんのこだわりを感じられます。
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