<ヨコハマタイヤ PRGRレディス 3日目◇11日◇土佐カントリークラブ(6,228ヤード・パー72)>
東日本大震災から7年。3月11日(日)を迎えた「ヨコハマタイヤ PRGRレディス 」最終日。競技開始を前に出場選手や大会関係者らが練習グリーンに集まり、震災の犠牲者に黙祷を捧げた。
国内女子ツアー第二戦「PRGRレディス」LIVEPHOTO
ホステスプロの原江里菜、辻梨恵をはじめ、佐伯三貴(東北福祉大出身)、有村智恵(東北高校出身)ら東北にゆかりのあるプロも含め、大事な最終日のスタートを前に多くの選手が集まった。福島県いわき市出身の酒井美紀も特別な思いを持って祈りを捧げた一人だ。
「毎年この日が大会と重なるので、より一層力が入ります」
2011年3月11日は忘れられない日だ。酒井の実家も被災。父が経営するゴルフ練習場も大きな被害を受けた。家は骨組みが傾いた状態で、その後も不安な日々を送った。そんな被災者の一人だからこそやれることがあると、つねに心を被災地に寄せてきた。
2010年にプロテストに合格した酒井。プロデビュー間もないころから、「応援してくれた地元への恩返しを」と、獲得賞金の一部をいわき市に寄付していたが、「震災があってからは、さらに力になれればいいな」との気持ちが強まった。
3年ほど前からは、「2歳下の弟が救急救命士になったのもあって。義援金ももちろんですが、人の命を助けるのに直接関わるものがいいなと思いました」と、地元消防へ医療機器のAED(自動体外式除細動器)などを毎年贈っている。
いまもなお、多くの被災者が不自由な生活と闘っている東北。酒井のゴルフで勇気づけられた地元ファンも多い。2014年に2勝を挙げた酒井も昨年はシード落ち。被災地の復興支援とともに、今季は自身の復活にも熱く取り組む。
「どうしても力が入りすぎて、空回りしてしまうこともありますが、私が頑張ればニュースにもなってくれると思うので」。ふるさとへの思いを胸にこれからも強く、強く戦い抜く。(文・谷口愛純)
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