つかみ。それはお笑いの用語であり、一番初めのギャグやボケがうけるかどうかすべるかで、その後のお客さんの心をつかめるか、つかめないかが決まるとされる。その一番始めのギャグのことを指す。それはゴルフの世界でも同じこと。バーディが先にくれば気持ちに余裕が出てきて乗っていけるし、ボギーがくれば焦りが生まれる。
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お笑いのメッカ・大阪で12年ぶりに行われた「Tポイントレディス」では、そんな“つかみ”が大きな明暗を分けた。それがパー4としては国内女子ツアー歴代二位タイの長さを誇る一番ホール。通常営業時はパー5として使用されているホールだが、今大会ではパー4として使用された。距離だけでなく、二打目地点が左足下がりとなっていてボールを上げづらくグリーンを捉えづらいのもポイント。
さらに難易度を上げるのが本来はパー5だけあって、短い番手で打つサードショットを想定してつくられたグリーン周り。花道がとても狭く両脇はバンカーが行く手を阻む。そう簡単にバーディを獲れない、お笑い用語で言えば中々笑わない『重い客』だ。
そんな重い客を一番つかんだのは優勝した鈴木愛。第一ラウンドは残り190ヤードから手前4mにつけてバーディ。さらに首位から出た2日目は、ティショットを大きく左に曲げたが斜面を転がり、平らな左ラフまで落ちてくる幸運にも恵まれパーをセーブ。続く二番のチップインバーディで完全に流れを掌握した。
一方、一打差二位から出た酒井美紀はつかみきることができなかった。初日は鈴木同様バーディを奪い優勝争いに加わったが、二日目は二打目をグリーン奥にこぼすと寄せられず。ボギーとすると、悪い流れを引きずったのか次の2番ではアプローチをミス。連続ボギーとすると、その後反撃を見せたが時すでに遅し。2014年「ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン」以来の優勝はならなかった。
また、二打差の3位タイから出た申ジエ(韓国)は、残り203ヤードから5番ウッドでピン左5mとチャンスにつけたが決められず。そこからことごとくバーディパットが外れ、6番で我慢できずにダブルボギー。優勝争いから一気に脱落した。
一番ホールで二日目にバーディを獲ったのはベイブ・リュウ(台湾)だけ。二日間の平均スコアは4.7135だった。この数字は1990年以降に行われた全てのパー4の中で歴代5番目の数字。また、1番ホールの中では歴代で最高の難易度である。
ちなみに、2017年シーズンで見ると一番ホールが難易度一位だった大会は1つしかなく、兵庫県にある花屋敷ゴルフ倶楽部 よかわコースで行われた「スタジオアリス女子オープン」。やっぱり関西では“つかみ”が大事なのかも。(文・秋田義和)
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