ゴルフクラブを売る、買取、下取はお任せ!高額買取!

このエントリーをはてなブックマークに追加 LINEで送る

最新ゴルフニュース

スイッチのオフとオン 上位2人から見る難コースへの対峙の仕方【辻にぃ見聞】

今季2度目の4日間大会「ヤマハレディース」は、2014年大会の覇者アン・ソンジュ(韓国)の4打差逆転優勝で幕を閉じた。2度目の優勝以外にも17年大会では「64」のコースレコードを出すなど難コース・葛城で強さを見せ続ける秘訣を、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が掘り下げる。
【スイング解説2018】実力者の中でも仕上がりの良さを感じるアン・ソンジュ
■例年とは違う顔を見せた葛城ゴルフ倶楽部 それでもやっぱり難しい
今年も名匠・井上誠一設計のツアー屈指の難コースが選手たちを苦しめた。アンダーパーはわずかに2人。上から速くサイドからは大きく曲がる、難しくて仕上がりの良いグリーンは今年も健在だった。だが、いつもと違ったのは天候。例年1〜2日、雨風の強い嵐のような日があるが今年は4日とも快晴。桜が散ることはなかった。
「今年は暖かくて空気が乾燥していたので、一番飛距離が出る条件の中で行われました。その分、飛距離が出ない選手にもチャンスが生まれました。とはいえ上位の顔ぶれを見れば例年と一緒。優勝したアンさんをはじめ、ジエさん、笠さんといった、このコースが得意な選手たちでした。言い換えれば、“ゴルフを知っている”選手たち。グリーンの手前から手前から、を徹底できる人。奥にこぼさないのはもちろん、毎回上りのパッティングを残すことで、常に同じタッチでパターを打てる位置につける。それができなければ、まず葛城で上にはいくことができません。むしろ雨が一日も降らなかったことでグリーンが例年以上に固く難易度が増していました。徹底できない選手は、すぐに淘汰されていました」。
そんなコースでやるからこそ、選手のレベルアップにつながると続ける。「手前から攻める、ということはグリーンに乗らかった場合、花道からの上りのアプローチが求められる。そんなときにSWのアプローチ一辺倒だけではダメ。PWだったりAWで転がしたりとバリエーションが求められる。なければ覚えなければいけない。そうやって選手の技術は向上していくのです」。
■スイッチを2つ持つアン・ソンジュ 良いときにクラブを変えられる強さも
最終日に2人しかいないノーボギー、そしてベストスコアとなる「69」を出し、4打差をひっくり返したアン。敗れた菊地絵理香も「今日の風が強くて向きも変わるコンディションで、60台はまぐれでは出ない。出球を間違えれば20ヤード平気でずれる。素晴らしいと思います」と勝者を称えた。
「もともとゴルフの組み立て方すべてがうまい選手だから、70点くらいの状態が出たらその状態でいっても勝てるな、という選手。彼女はアプローチやショートゲームが抜群にうまいですからね。グリーンを外してからのリカバリーのうまさは天下一品です。それが葛城でも冴え渡った、という印象ですね」
また、辻村氏が今回のキャディを務めた保科隆氏に聞いたところによると、アンは予選ラウンドと決勝ラウンドで戦い方を変えていたという。「保科さんは“アンさんはスイッチを2つ持っている”と話していました。予選ラウンドはスイッチを入れず、ガツガツいかない。そしてムービングデーにギアを一段アップ。さらに最終日の後半で最後のスイッチを入れたときの集中力はすさまじいものがある、と話していました。だから25勝もできる、とも」。余力を残して最後に全力を注ぐ。4日間大会のお手本のような戦い方だった。
そんなサンデーバックナインでの、アンのすごさを感じたのが16番。「15番でチップインバーディを奪って、上がった16番のティグラウンドにはリーダーボードがあるんです。目に入らないわけが無い。自分が単独首位に立ったことを知ったと思うんです。迎える16番は葛城で難易度が一番高いホール。ティショットからいやらしい。そこで力感もちょうどいい、とても良いスイングをしていたんです。さらに2打目ですね。この日は左ピンで奥は絶対にだめ、引っ掛けも禁物の場面で、しっかり右下5メートルに乗せてパーを獲りました。このショット、この勝負強さ。まさにトップギアでした」。
もう1つ今回、注目すべき点として、前回優勝した「PRGRレディス」からヘッドだけで4本、シャフトを含めれば大幅にクラブをチェンジしていたことが挙げられる。アンは「土佐は寒かったけど、今週は暖かい。それによって、いいクラブも変わってくると思うんです。今週、ドライバーを修正しているときに合ったシャフトにしました」と話している。ここにも辻村氏は強さを感じた。
「普通は調子が悪いからクラブを変えるんですよね。でも、アンさんもそうだし、ヤマハからドライバーを変えたジエさんも、いいものがすでに手元にある中で“さらに1ヤードでも伸ばそう”、“さらに曲がらないものを”と新しいクラブを試しています。これはどのクラブにでもアジャストできる技術、そして自分の道具選び・感性に自信を持っていないとできないこと。そして、Tポイントの鈴木さん、アクサのフェービーさんもそうでしたが、その週の初日にいきなり別のパターにして勝っている。これはフィーリングの微妙なズレを分かるからできること。まさに契約フリーの真骨頂と言えるのではないでしょうか」
■敗れた菊地絵理香も僅かな差 切り替える力が調子の悪さを帳消しに
一方、2位に4打差をつけてスタートした菊地絵理香は、前半でダブルボギーを叩くなど苦しみ前半で2位後退。バックナインで一時は首位に返り咲く強さを見せたが、そこから伸ばせず2位で終わった。
「菊地さんも敗れはしましたが、アンさんと何か決定的な差があったわけではないと思います。菊地さんが今回見せたのは切り替える強さ。2日目までショットが悪く、2日目の10番から14番まで5連続でグリーンを外していました。そこでショートゲームの上手さを見せて1オーバーでしのぐと、次の15番でバーディを奪ってパープレーに戻していました。それができたのは切り替える力です。グリーンを外しても、アプローチを寄せれられなくても“次、次”と、引きずる様子はありませんでした。アンさんとは逆に“変なスイッチを入れない”強さですよね。先週は若手選手の勢いが強さを見せましたが、こういうコースではこういったベテランの経験が生きる。スイングどうのこうのよりもゴルフ力が問われる試合。見ていて面白かったです。こういった“ゴルフ力”が付く試合もどんどん増えていって欲しいですね」
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、比嘉真美子、藤崎莉歩、小祝さくらなどを指導。様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。

<ゴルフ情報ALBA.Net>

この記事のシリーズトップページへ

ピックアップコンテンツ

飛距離・スコアを上げたい

  • 安楽拓也プロのゴルファータイプ別飛距離アップレッスン アスリートゴルファー編
  • 安楽拓也プロのゴルファータイプ別飛距離アップレッスン アベレージゴルファー編

これからデビュー・初心者向け

  • 安楽拓也プロのゴルファータイプ別飛距離アップレッスン 初心者編
  • 世界のトッププロ達のスイング集

旬ネタ・スゴ技・エンタメなど

  • 話題のクラブを多角的に検証「ギア総研」
  • マーク金井の試打職人

練習場イベント

10月の買取強化倶楽部 あなたのクラブ高く買い取ります

クラブを買う・売る

ゴルフ初心者の方へ

ページトップへ戻るページトップへ戻る