石川遼が、国内男子ツアーへの本格復帰初戦となる「東建ホームメイトカップ」の練習場に姿を見せた。先週は強行スケジュールで地方試合の「千葉オープン」と「岐阜オープン」に出場し、連勝。レギュラーツアーではないため、その仕上がりを懐疑的に見る声もあるが、本人は大きな手応えを手にしている。「千葉オープン」で披露した、ドライバーの“フラットな新スイング”について狙いを明かした。
「きっかけは昨年10月に、友人と世界のトップ選手の最先端スイングを研究したこと。ヘッド軌道を作ろうとするのではなく、体を動かした結果、スイングプレーンに乗る打ち方を目指しました。今までと正反対のイメージですごく違和感がありましたが、具体的には切り返しでクラブを寝かせるイメージに変えました」
補足すると石川本人の意識では、これまでは「クラブを立てて下ろし、ヘッド軌道をどこに通そう」としていたが、それとは180度イメージを変え、クラブを寝かせて体の動きを主にして自然にプレーンを通る感覚を目指した。違和感は激しく、「いける」という手応えを得たのはわずか1カ月前だった。
「インパクトで左手が浮くのがボクの長年の課題で、それさえ解消できればどこにバックスイングが上がろうが、ダウンスイングがどうだろうが、インパクトの再現性は高められる。そこに気づき、切り返しで寝かせるイメージをやってみようと思って試してみると、ストンッ!と手元が落ちたんですよ。そこからですね、時間をかけてやり続けてきました」
取り組んで半年。違和感と格闘する中で「フレループ」と呼ばれる湾曲した練習器具に目をつけた。「切り返しで寝かせてから立てるといった動きの確認にも役立つ」といい、この日も動きを確認しながらウッド類を中心に打ち込んだ。
「今まではクラブを立てて下ろそうとするから、結果的にインパクトで手元が浮いてしまっていた。この真逆の動きに気づいて改善を実感したのは最近なんですよね。今まではどうしても球を曲げたくなくて、ヘッドを真っすぐ、真っすぐ通そうとしていた。でも、そうするしかなかったんです。ボクの中では」
苦しんだ結果、得られた「切り返しでクラブを寝かせる」という真逆の動き。果たして石川自身の“太い感覚”となるのだろうか。
「振り返ると2009年時のドライバーショットが一番いいんですよ。そのときは切り返しでクラブを寝かせる動きがあったし、インパクトで手元も低い位置に下りてきていた。そのときの感覚が、今はもうないんですよね、9年近くもたっているんで。クラブの構造を理解せずに、曲げたくない一心で間違ったことをやっていた。人に言われてではなく、長く苦しんで自分自身で気づけたからこそ、今、そう言えます」
強風の「千葉オープン」、狭いコースの「岐阜オープン」という地区オープンを連勝したのは、間違いなく曲がらないドライバーを手に入れた証し。今度はレギュラーツアーで仕上がり具合が試される。(文・長岡幹朗)
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