<東建ホームメイトカップ 初日◇12日◇東建多度カントリークラブ・名古屋>
ドライバーの超フラットな素振りに注目が集まる石川遼。11日には昨年10月から取り組んできたスイング改造に関する現時点での完成度について語った。
【写真】石川遼2012年以来の参戦「東建ホームメイトカップ」LIVE写真館配信中
「6年ほど前からダウンスイングでフェースを閉じて下ろすスイングになってしまってました。それで、一番嫌なプッシュアウトはなくなってきていた。でも、自分が気持ち悪いなと思った瞬間にそれが出る手元が浮く技術的な問題を解消しようとしてきて、現時点での完成度は5割から7割くらいですかね。昨日今日とやってみて、まだ7割まではきてないなと。ここらへんをずっとさまよっていくんだと思います」
石川の手応えは7割未満でも、周囲はその変貌に驚いている。「久々に見たけど長いクラブの精度がすごい」「千葉オープンで打っていたドライバーの精度と飛距離がヤバかった」と、ここ数年の石川を見てきた同業者たちからも感嘆の声が漏れ聞こえる。では、実際に過程を間近で見守ってきた父・勝美氏にはどう映るのか。
「オフの練習はドライバーとパターばっかりですよ。ここ最近で急に良くなってきた。良かった時と比べても遜色ないというか、ここ数年では一番いい状態と言えるところまで来ているんじゃないですか。それでも、トップ選手と比べれば飛距離も足りないし精度もね。まだまだ上げなきゃいけないでしょう」
練習日には「昨年の秋に友人の伊澤秀憲くん(伊澤利光の甥)と一緒に世界トップ選手のスイング研究をしたのがきっかけ」と、スイング改造の意図を明かした石川。米国トップ選手の一部で見られる「パッシブトルク」と呼ばれるフラットに一旦寝かせる動きのニュアンスをこれまでのスイングに取り入れる最中で「完成というのはないと思う」と、進化の過程を強調した。
偉大な叔父・利光を持つ伊澤秀憲もプロゴルファーで、石川と同い年。石川も認める多彩な小技のテクニックや海外トップ選手の動きをバイオメカニクス的見地も持っており、超感覚派な石川も一目置く存在だ。
長く契約するキャロウェイのプロ担当も、その変化に舌を巻く。「スイングが良くなってドライバーだけじゃなく、3Wも普通に芝の上から270ヤードキャリーで狙ってくるのには驚きました。本人の感覚的にはまだまだでしょうが、昨年よりスケールアップを感じます」と、長く使用する3Wのスペアの用意を心配していた。
選手会長という大役に、習得の難しい「今までとは真逆の感覚」のパッシブトルクのニュアンス。このオフが多忙でも充実していた理由はさまざまな新しい取り組みを始めたから。地区オープンではこの新しい取り組みの“試運転”で望外の2勝の結果が出てしまった。マスターズ出場組がいない開幕戦ではどのような結果になるだろうか。(文・長岡幹朗)
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