<RBCヘリテイジ 最終日◇16日◇ハーバータウンゴルフリンクス(7,099ヤード・PAR71)>
米国男子ツアー「RBCヘリテイジ」最終日、首位と6打差の12位タイからスタートした小平智は、7バーディ・2ボギーの「66」のラウンド。トータル12アンダーで並んだキム・シウー(韓国)とのプレーオフを制して、日本人として5人目の米ツアー初優勝を遂げた。
【写真】小平智、日本人史上5人目の米ツアー勝利!優勝の瞬間〜表彰式フォトギャラリー
無欲の勝利だった。午後に雷雲が接近する予報があり、最終ラウンドのスタート時間が早まった。厚い雲に覆われた朝から風が強く吹き、上位陣は伸び悩んだ。首位と6打差から出た小平は、「首位と差があったのでトップ10以内」を目標に淡々とスコアを伸ばした。1番から3連続バーディを奪うなど、前日の宣言どおり前半で3つスコアを伸ばした。この時点で首位との差は4打。
「伸ばすしかなかった」と後半に入っても10番パー4で2m、14番パー3は左奥のカラーから8mをパターで流し込み、15番パー5では2打目をグリーンサイドまで運び、アプローチを3mに寄せて、バーディを重ねた。
17番パー3はボギーとして後退。「17番のボギーで4位か5位ぐらいになっていると思った」と語ったが、実際には単独2位になっていた。最終18番パー4はパーに終わり、”クラブハウスリーダー”として後続を待った。
ホールアウト時点では首位・キムとは2打差。「米ツアーの選手が崩すと思わなかった」とリラックスした状態で待ち構えていたが、優勝の重圧と風の影響か、キムのプレーも鈍り、15番でボギー。「待っている間が一番緊張した」と1打差になった時点で緊張感に包まれながら練習場でボールを打った。17番でキムがボギーとし、最後も2メートルのバーディパットを決められずにプレーオフに突入した。
「プレーオフはあまりやったことがなくて戦い方が難しかった」と語ったが、18番ホール2ホールで決着つかずに、3ホール目は17番パー3へ。手前6メートルにつけたキムに対して、小平は7.5メートル。「狙ったところに打つことだけを考えていた」というバーディパットは、イメージ通りにコロがりカップに消え、勝負を決めた。
「無意識です」というど派手なガッツポーズは、人生最大のガッツポーズでもあった。
「米ツアーで優勝することを目標にしてきましたが、こんなに早く勝てるとは思っていませんでした」と喜びとともに戸惑いもあった。米国メディアに囲まれて何度も優勝インタビューに答えた。なかなか実感が沸いてこないが、「異国の地でもファンの方たちが応援してくれるのは、いままで味わったことがない感覚でうれしかったです」と、声援に応えた。
夢にまでみた米ツアーメンバーとなり、来年からの2年シードを手にし、2019年「マスターズ」の出場を決めた。「この試合は戦えると思っていましたが、(優勝という)ここまでのイメージはありませんでした。わちゃわちゃしすぎてワケが分からない(笑)」とはにかんだ。(文・小高拓)
<ゴルフ情報ALBA.Net>