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【石川遼・復活優勝へ】最高のパフォーマンスを発揮するには？メンタル部分を分析してみた！

先週の国内男子ツアー「パナソニックオープン」では、「71」「66」「76」「66」。4日間で浮き沈みの激しいプレーを見せた石川遼だが、ピンチを迎えるたびにどう切り抜けているのか。専修大学スポーツ研究所の佐藤雅幸氏（スポーツ心理学）に解説してもらった。
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「トップアスリートは、“フィーリング”をとても大切にします。石川選手も同様に“そのフィーリング”をつかむために、思考錯誤している状態だと推察します。まさにパズルを解くように・・」と佐藤氏。「通常、選手の心理的特性を分析するためには、心理テストを用いますが、今回は限られた資料からの分析です」としたうえで、「石川選手の心理的特性は、自分で決めたことに対して信念を持って頑なに取り組むタイプ。理詰めで論理的に物事を考えながら課題に立ち向かっていく。野球でいうと、イチロー選手がこのタイプです」。
12日から行われた「東建ホームメイトカップ」では優勝争いをしたものの、翌週のパナソニックオープンの初日には57位タイ発進と低迷。東建ホームメイトカップで右にプッシュアウトするミスが出るようになり、不安が出てきたと自身で明かしていたが、前週の優勝争いという一見いい結果に反して、プレーの内容に納得しきれない不安感が、パナソニックオープンでの不調に繋がったと佐藤氏は解説する。「悪い状態が出たときに、どう対処して、どう考えるのかが大事」と語っていた石川だが、プレー中の言動にも、しっかりと論理的に考える面が強く出ていると佐藤氏は語る。

「心理学に交流分析という理論があります。この理論では、人の心の中には5つのタイプの人間がいると考えます」。5つとは、それぞれ、“支配的な親（ガンコ親父）“。“養育的な親（やさしい思いやりのある母親）”、“アダルト（論理的なコンピューター）”、“フリーチャイルド（自由奔放な子供）”、“アダプテッドチャイルド（素直な子供）です。「石川選手のコメントから受ける印象は、責任感の強さと論理的思考が優位に働き、フリーチャイルド（自由奔放）が少し抑制されているように思われます」。

石川の基本的な性格を「情緒安定・積極型」と解説する佐藤氏。「いわゆる“指導者型（ディレクター）”で、リーダーシップがあり企業人としても成功するタイプです。その性格は、石川選手の生い立ちも関係していますが、石川選手は3兄弟の長男。長子というのは、親の注目を浴びながら成長する時期があるので、親が何をしてほしいのかを敏感に感じて頑張る傾向がある“〜しなければ、こうあるべきだ”という使命感が強くなります」という。論理的な部分と、この「やらなければ」という使命感が過剰になると、体も心も固く頑固になり、「スランプ」に陥る。

「トップアスリートが最高のパフォーマンスを発揮した時の状態を調査すると、論理的な“アダルト”と“フリーチャイルド”が上手く連動していることがわかっています。いわゆる、“ゾーン”というのは、論理的にやることをきめて、プレーするときは迷わず無邪気に！という状態なんです」と解説する。

2010年の「中日クラウンズ」では、最終日に当時世界最小ストロークの「58」を叩き出して劇的な逆転優勝を挙げた石川。当時を振り返り「神がかかっていた」と語ったが、この時は、一所懸命、一打一打に集中していたに違いない。予選ラウンドでは昨年覇者の宮里優作と、「RBCヘリテイジ」で米国ツアー初優勝を挙げた小平智と同組。プロゴルファー石川遼がプライドを賭けて勝負をする。

佐藤雅幸（さとうまさゆき）
専修大学教授（スポーツ心理学）専修大学スポーツ研究所所顧問
「HALEO」スポーツサイエンスリサーチとして活動。
82年日本体育大学大学院体育学科研究科修士課程修了。 専修大学女子テニス部を創部し監督を務め、92年は全日本大学王座優勝を果たした。松岡修造氏が主宰する「修造チャレンジ」におけるメンタルサポートの責任者として活動。『起きあがりことば』（朝日出版）、『人はなぜ、負けパターンにはまるのか』（ダイヤモンド社）、『スランプをぶっとばせ』（ベースボールマガジン社）等著。
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