<関西オープン 最終日◇20日◇小野東洋ゴルフ倶楽部(7,124ヤード・パー72)>
プロトーナメントには魔物が住んでいるのか。単独首位からスタートしたアマチュアの久保田皓也は、後半に入りミスを連発。ツアー制度施行後4人目となるアマチュア優勝をあと一歩のところで逃した。
圧巻の優勝争い!久保田&時松&今平の3ショット
「前半は良かった」という言葉のとおり、久保田はスタートからキレキレのプレーを連発。正確なショットは確実にグリーンを捉え、 1番の8メートルなど面白いほどパットも決まる。スタート4ホールで3バーディを奪取。同組の時松隆光、今平周吾を引き離した。そのまま前半を終えても、首位の座を譲らず。会場は久保田優勝の雰囲気に包まれ始めた。
しかし後半に入ると、久保田の歯車が狂い始める。「前半が終わったくらいに優勝は意識しました。あまり考えないようにはしていたんですけど、自然と頭に…」と、重圧が久保田を襲う。13番ではティショットを林の深い位置に打ち込みダブルボギー。15番でも1打目のOBが響き、この短い間に2度のダボをたたく。そして首位から陥落した。
「プレッシャーなのか、見えない何かにプレーを左右されました。自分のゴルフが途中からわからなくなってしまった」
高校時代には3年間キャディを務めた経験も持つ勝手知ったるホームコース。クレバーなマネジメントでプロを脅かしていた20歳の新星は、その見えない何かの前に屈した。
この日こそ4バーディ・3ボギー・2ダブルボギーとスコアを崩したが、ここまでの活躍は決して色あせるものではない。トータル7アンダーという立派なスコアも、記録に残り続ける。何よりも「課題にしていたショットの精度とか、ドライバーの飛距離(不足)を痛感しました。これを毎週やっているプロはすごいな」と今大会から得たものは、必ず久保田の成長に不可欠な要素となるはずだ。
過去3人のアマチュア優勝者のなかには、大学の先輩で、久保田が「憧れ」と語る松山英樹もいる。惜しくも、松山と肩を並べることはできなかったが、「日本で活躍して少しでも近づけるように、また1つひとつ見直して頑張りたい」という気持ちも再確認できた。ローアマには輝いたが、「関西のアマチュアはレベルが高い。今回はトップになったけど、一番上に立ったわけではありません。もっと上を目指したい」と明日には大学のある仙台に戻り、またゴルフ漬けの生活が始まる。
10月の「日本オープン」の予選会を受けることも明言した久保田。本戦に進んだ先にどんなプレーを見せるのか。今から楽しみだ。(文・間宮輝憲)
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