クラブハウスに引き上げてくるなり「疲れました。学生のとき以来の36ホールはさすがにタフでしたね…」とぽつり。トップとなるトータル8アンダーで「全米オープン」の出場権を獲得した秋吉翔太は、疲労と安どが入り混じった表情を見せた。
【写真】全米オープン出場を決めた3人
「挑戦したい」と思って初めて受けた最終予選会。「1ラウンド目の前半が1オーバーだった」と出鼻をくじかれるも、なんとか持ち直し、2アンダーで最初の18ホールをフィニッシュ。第2ラウンドは2連続バーディ発進を見せるも、ハーフターン直前の9番でダブルボギーを叩き、「さすがに棄権しようかと思った」。
迷った末に「後半の出だしでボギーを打たなければ続ける」。そう誓った10番でバーディを奪取。「これで行ける」という気持ちは、12番(パー5)で奥のカラーからチップインイーグルを決めて確信へと変わった。「ダボの分を最初の3ホールで取り返すどころか、貯金ができた」。これで精神的な余裕が生まれ、そこから3バーディ。終わってみればリーダーボードの最上位にいた。
これで「夢だった」という海外メジャーへの切符を掴んだ。「実感が湧かない」と未だ半信半疑な27歳だが、「メジャーに出ただけ、にはしたくない」と言い切る。「予選を通過して知名度を上げたいですね。まだゴルフファンの方々に名前を覚えてもらえていないので」。名前を売るには格好の舞台であることに間違いはない。
そのためにも、妻である静香さんのサポートが不可欠。何よりもお願いしたいのは、「妻は松山英樹と中学・高校の同級生なので、奥さんを通じて(全米オープンについて)色々聞きたいと思います」と、昨年大会で2位に入った日本の怪物と間を取り持ってもらうこと。松山とは同じスリクソン契約である縁を頼りに、練習ラウンドも依頼するつもりだ。
メジャー大会への登壇が現実になると同時に、目前にあるもう1つの切符にも欲が湧いてきた。24日(木)に開幕する「〜全英への道〜ミズノオープン at ザ・ロイヤル ゴルフクラブ」で4位以内に入れば、海外メジャー「全英オープン」への出場権を獲得できる。「1週間で2つ、海外メジャー出場権を獲得できたら最高ですね。ショットはいい感じなので、早く疲労回復して頑張りたいと思います」。アメリカ行きを決めたサムライは、早くも次のターゲットに目を向けた。(文・秋田義和)
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