<ミズノオープン 3日目◇26日◇ザ・ロイヤルゴルフクラブ(8007ヤード・パー72)>
日本生まれ、日本育ち。ゴルフを始めてプロになったのも日本。ところがその後は出場機会を求めてアジアに飛び立った高橋賢。アジア下部ツアーで2勝を挙げた男が、今度は国内男子ツアーで羽ばたこうとしている。
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「〜全英への道〜ミズノオープン」3日目を終えて、トータル1アンダー。首位と1打差の2位タイで、最終日最終組のひと枠を勝ち取った。国内男子ツアーの出場は生涯5試合目。無名といったら失礼だが、アジアを主戦場にしてきた逆輸入プロが大きなチャンスをつかもうとしている。
「朝は緊張していました」というが、スタートしてしまえば堂々たるプレー。というよりも、「淡々と」、「黙々と」というプレーで、派手なアクションはおろか、感情が表に出ることはほとんどない。「持ち味は着実で堅実なプレーなので、そこを見てもらえれば。温かく見守ってください(笑)」と、静かに話す姿も実に柔らかな表情だ。
3日目の今日は総ヤーデージが8,007ヤード。強風も吹き荒れ、究極のモンスターコースとなって選手の行く手を阻んだが、それでも静かにホールを重ねていく姿は変わらない。大きなピンチを迎えたのは9番のパー4。強烈なアゲンストのなか放ったティショットは右の深いラフへ。「今週はあそこまで深いところから打っていなかったので」と、脱出こそしたものの、球は左の池に吸い込まれた。
そこからが、静かな男の本領発揮。「そういうこともあるし、仕方ないと思った」と、ドロップした4打目は185ヤード。これを1メートル強につけてボギーセーブ。「あそこで粘れたのが後半につながった」と、最終18番こそボギーとしたが、8ホールでパーを並べた。「激しいアップダウンもなく平穏に回れました」と、最後まで柔らかな笑みを浮かべるが、静かでいるのにはもちろん理由がある。
「熱くなるとゴルフが雑になる」と、あえて静かに回る高橋。あくまでも平穏を通すが、アジアのツアーではあるニックネームで呼ばれているという。「ブルースって呼ばれています。見た目がブルース・ウィリスに似ているということで」と、静かどころか、派手すぎるアクションでハラハラドキドキの映画には欠かせないあの名俳優の名で呼ばれているのだ。
「さすがに18番でバーディを決めたりしたら少しは…」と、派手なアクションを決めたい気持ちもありそうだが、そこはグッと抑えている。「あしたトップ10に入れば来週も出場できるので、頑張ります」とこちらも控えめな目標を口にする高橋。優勝ということになれば一気にシード確定となるが、そのときはさすがに、ブルース・ウィリスばりのど派手なアクションでギャラリーを盛り上げてくれると期待しよう。(文・高桑均)
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